大一番の鹿島アントラーズはやはり強かった。

6月25日にカシマスタジアムで行われた第17節・アビスパ福岡戦。勝てば文句なしで1stステージ制覇が決まる試合は、2-0で勝利。流石の勝負強さを見せた。

まだまだシーズンは続くとはいえ、重要なタイトルを手にした事実は変わらない。今回の鹿島リポートでは、見事優勝を果たした1stステージを振り返っていきたい。

1.安定感を増した守備

優勝の大きな要因は、「安定した守備」だ。リーグ戦17試合で失点は10。失点数の少なさでも堂々の1位に輝いた(2位は川崎フロンターレの15)。

守備の安定にはいくつかの要因がある。まずは、昌子源・植田直通の飛躍的な成長だ。前者は“鹿島の3番”としての風格を身に付けつつある。最終ラインから声を張り上げチームを鼓舞する姿は、OBの秋田豊・岩政大樹を彷彿とさせる。一方の後者は、カタールで得た自信をシーズンに還元した。定評のあったフィードに加えタイトなマークでも冴えを見せた。日本代表のセンターバックを2人で担うほどのパフォーマンスを後半戦では期待したい。

次に、石井正忠監督のスタイルがチーム全体に浸透したことが挙げられる。

前線からプレスをかけ、陣形をコンパクトにして相手の攻め手を奪うアグレッシブな守備は完成に近づいている。特に金崎夢生・土居聖真の2トップは精力的なプレスでチームを助けた。アタッカーの献身的な姿勢はアントラーズの伝統でもある。福岡戦で先発出場した杉本太郎のプレーにもその伝統が脈々と受け継がれていた。今後もその質を上げていくだけだ。

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