10月16日にケーズデンキスタジアムで行われたJ2リーグ第36節水戸ホーリーホックと横浜FCの試合は、両チームにベトナム人選手が所属することから「ベトナムダービー」と呼ばれ、試合前から日本・ベトナム両国で大きな注目を浴びた。
しかし、横浜FCのグエン・トゥアン・アインが怪我でメンバー登録から漏れたため、「ベトナムダービー」は実現しなかった。
水戸ホーリーホックは、アジア戦略を推進するJリーグやベトナム市場の開拓を進める茨城県と協力し、この試合を「茨城×ベトナム親善交流マッチデー」と銘打ち、大々的にPR。1stステージで横浜FCのホームで対戦した際は、ベトナム人の両選手がともにベンチ外だったため、直接対決の可能性があるのは、16日の試合が最後だった。
グエン・トゥアン・アインは、天皇杯3回戦の長野パルセイロ戦で決勝点となる来日初ゴールを決めるなど、このところ調子を上げており、リーグ戦初出場への期待がかかったが、練習中に足を痛めてしまい、「ベトナムダービー」を欠場。一方、水戸のグエン・コン・フォンはいつも通りベンチスタートで、終盤に途中出場したのみだった。
想定外だったグエン・トゥアン・アインの怪我で、試合開始以前に幻と消えた「ベトナムダービー」だが、ベトナムの一部のメディアは、「まだベトナムでも実績を残していない若手同士の対決を『ベトナムダービー』と名付けるのはあまりにも大げさ。HAGL(レンタル元のベトナムクラブ)ダービーと呼ぶ方がふさわしい。どんな名前をつけたとしても、中身が伴っていなかったのが残念でならない」としている。
水戸はこの試合のために、普段とは違うベトナムカラーの赤の特別記念ユニフォームを着用。スタジアムでは、ベトナム国旗の応援旗を配布し、約400人の日本在住ベトナム人を招待するなど、「ベトナムダービー」を成功させるために努力した。さらには、ベトナム人記者を招待して日本から逐次情報を配信し、ベトナムではイオン・モールでパブリックビューイングを開催。
試合前まで大きな注目を集めた「ベトナムダービー」だったが、スタメン発表で、グエン・トゥアン・アイン欠場とグエン・コン・フォンのベンチスタートを知った瞬間、ベトナム人の多くが興味を失ってしまった。とはいえ、スタジアムやパブリックビューイングなどの各種イベントは、そこそこの盛り上がりを見せて、興行的には一定の成功を収めたようだ。
グエン・コン・フォンは87分に途中出場して、アディショナルタイムを含めて8分間プレー。ピッチに入ったときは、ベトナム人ファンから大きな歓声があがったが、一度もボールに触れることなく試合を終えて、ファンらは失望の色を隠せなかった。
(C) Mito Hollyhock/Yokohama FC