キューバの国営テレビは25日、前国家評議会議長のフィデル・カストロ氏が90歳で亡くなったことを伝えた。

1959年の革命以来50年近くカリブ海の小国キューバの指導者であり続けたカストロ氏。

世界の覇権を握るアメリカ合衆国に怯むことなく立ち向かう姿が共感を呼び、共産主義国の指導者でありながら思想の左右を超え、世界中でカリスマ的な人気を誇った。

特に中南米での支持は絶大で、サッカー界の“神様”こと元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナも彼に心酔した一人である。

カストロ氏の盟友といえばアルゼンチン生まれの革命家チェ・ゲバラだが、若き日のゲバラがカストロ兄弟に出会い革命へと身を投じていったように、マラドーナも1987年に初めてキューバを訪問して以来、南米人として“北の巨大な帝国”アメリカに立ち向かい続ける男に魅了されたのであった。

スタジアムのフラッグでも見かけるチェ・ゲバラ

また、キューバといえば貧しいながらも医療大国として知られており、マラドーナが心臓疾患やコカイン中毒で生命の危機にさらされた時も、同国で長期療養しサッカー界への復活に繋げている。

こうして二人の関係は揺るぎないものとなっていった。2005年にマラドーナは自身が司会を務めたテレビ番組『10番の夜』の中で「私にとって司令官(カストロ氏)は神様だ」と語ったほどである。

マラドーナのカストロ氏に対する心酔ぶりが一目で分かるのがこちらの画像。

右腕にはチェ・ゲバラ、左足にはフィデル・カストロ氏の入墨が彫られているのだ。

近年になっても交友は続き、公の場に姿を現わさなくなったカストロ氏の死亡説が出た際にもマラドーナが力強くその噂を打ち消す発言をしていた。しかし、ラテン系の不法移民に対し強硬な姿勢をとるドナルド・トランプ氏の次期アメリカ大統領が決まって間もないこのほど、“反米のカリスマ”は90歳でこの世を去った。

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