モイゼス
(怪我によって君は決勝に出られなかった)
「これは恐ろしいものだった。しかし、僕はまだグループの一員としての役割があった。ピッチ外でね。プレーしなくても、彼らがピッチでいいパフォーマンスが出せるように、やれることはたくさんある。
誰もがプレーしたくてウズウズしていた。まるで人生で最後の試合であるかのようにね。それが出来る前に、あれは起こってしまった。今も理解できずにいる。
僕は彼ら全員を愛していた。例外なくね。ルーカス・ゴメスとは親密だった。彼は毎日のように家に来たし、僕も彼の家に行った。その子どもたちもいい友人だった。みんなを愛していたよ」
(事故の報を聞いたときは?)
「家で眠っていた。妻が僕を起こして言った。飛行機に事故があったと。服を着てスタジアムに行った。午前3時半だった。
本当に何が起こっているのか、なんの情報もなかった。朝は、2度と友人たちと働くことも会うこともできないということがわかっただけだ。全てが僕にとって難しいものだった」
「今日、本来ならばコロンビアでシャペコエンセの選手たちがいい結果を得るべき時だった。
飛行機が墜落したのは、燃料不足が原因だったと言われている。そのような状況を受け入れることはできないよ。
76名の人生を壊し、多くの家族から愛する人を奪った。シャペコに住む20万人を失望させた。全てはパイロットの怠慢からだ。
燃料が足りなかったから墜落した――そんなことを聞くのは本当に悲しいことだ。他の理由だったらまだマシだった。パイロットが何もできないようなことならね。
しかし、燃料不足ならばパイロットは色々なことができたんだ。それが尚更多くのものを傷つけているよ」
墜落事故を免れた元福岡モイゼス、仲間は「パイロットに殺された」
Text by 石井彰(編集部)
カズに憧れて全身赤のスーツを買ったことで校内一の人気者になったが、中身が伴わず一発屋で終わったというエピソードを持つ島根県出身のエディター。その影響か赤いチームを好み、ヴァランシエンヌ、レイションエス、ノッティンガム・フォレストなどを応援している。
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