昨季限りで現役を引退した長谷部誠は、フランクフルトのユースチームで指導者としての道を歩み始めた。
そうしたなか、『ESPN』は、「長谷部が欧州トップクラブで初のアジア人監督になれる理由」という記事を伝えた。その内容を抜粋してみる。
「長谷部は、サッカー界の奇妙な傾向に逆行する道を歩み始めた。無意識的な嫌悪感なのか、単なる偶然なのか、アジア人が欧州有名クラブで指揮を執った例はない。アジア選手がヨーロッパで十分通用すると見なされて久しいにもかかわらずだ。
一方、アジアのチームは(主にワールドカップで)、より輝かしい相手と肩を並べるだけの実力を持っていることを証明してきた。時には過度に保守的だと受け取られる戦術に対して批判の声も上がっているが、日本代表の森保一監督は2022年ワールドカップでドイツとスペイン相手に見事な勝利を収めた。
(中略)
長谷部は、特にアジアサッカー連盟の他の候補者よりも明らかに有利であることを考えれば、おそらく最高のチャンスがあるだろう。彼はすでに“入っている”のだ。
模範とされ、尊敬される選手として積み重ねた信用がある長谷部は、直接ヨーロッパでコーチの道を歩み始めている。
初期の兆候は有望だ。現役時代は周囲の手本となり、ピッチ上でもサイドラインからでも指示やアドバイスを与える姿がよく見られた。フランクフルトで指導したアディ・ヒュッター元監督(現モナコ)は、長谷部を『絶対的な天の恵み』であり、サッカー選手としても人間としても『傑出している』と評した。オリヴァー・グラスナー監督(現クリスタル・パレス)も、長谷部は常に頼りにされる存在であったと語っている。チームメイトたちも、彼のことを親しみを込めて『メトシェラ』と呼んだ。969歳で亡くなるまで最も長生きしたとされる聖書の人物だ。
決断力と野心にあふれた長谷部は、引退会見で、最終目標はフランクフルトの監督になることだと語っていた。
そうすることで、彼はアジアサッカーの成長と認知を妨げてきたトレンドに逆らい、この異常な状況を逆転させなければならない。彼はそれに最も適した、そして最も準備の整った監督候補なのかもしれない」
ドイツで実績と信頼を積み上げた長谷部は、外国人としてブンデスリーガ史上2番目に多くの試合に出場した選手にもなった。
アジア人として初めてヨーロッパのトップクラブを指揮する監督になれる素質があると期待されているようだ。