レッドブルとNTT東日本は6日、NTT東日本が保有する大宮アルディージャおよび大宮アルディージャVENTUSを運営する「エヌ・ティ・ティ・スポーツコミュニティ株式会社」が発行する株式の100%をレッドブルに譲渡する株式譲渡契約を締結したことを発表した。株式譲渡は2024年9月を予定しているとのこと。

以前から報じられたレッドブルによるJリーグ大宮アルディージャの買収がついに発表された。外資系企業が単独でJクラブのオーナーになるのは史上初めてだ。

オーストリア・ザルツブルグに本社を置くレッドブルは、主にエナジードリンク事業を手掛けているが、飲料製品の製造・販売にとどまらず、複数のF1レーシングチームやアイスホッケー、サッカークラブなどのスポーツマネジメントの運営も行っている世界的企業。

限界に挑戦し、スポーツと青少年の発展を促進。熱狂、エネルギー、革新、そして人とアイデアに『翼をさずける』ことを目指してそのブランドイメージを高めてきた。

サッカークラブの運営としては、拠点であるザルツブルク(レッドブル・ザルツブルク)のほか、アメリカ(ニューヨーク・レッドブルズ)、ドイツ(RBライプツィヒ)、ブラジル(レッドブル・ブラガンチーノ)で3つのクラブが活動中。レッドブルサッカーネットワークを構築している。

サッカー界における運営方針は、特徴的なブランディング、革新性、財務的安定性を兼ね備える一方で、インフラや長期的な発展への投資も行うというものだ。

レッドブルとしては、Jリーグは非常に競争力のあるサッカーリーグであり、年々国際的な認知度を高めている中で、26年の歴史を積み重ねてきた大宮アルディージャの存在感は特別なものであり、また多くの育成出身選手をトップリーグに輩出してきた実績は、レッドブルサッカーネットワークの一員となるのにふさわしいクラブであると判断したとのこと。

WEリーグに参戦している女子チームについても、世界で活躍できる能力をもった選手たちが多く在籍しており、大きな可能性を感じているという。

以下は関係者のコメント。

■Red Bull GmbH 代表者 オリバー・ミンツラフ氏

「まずは、NTT東日本、Jリーグ、およびWEリーグの関係者の方々に対し、常に信頼に満ちた対話をしていただいたことに感謝申し上げます。アジアにもクラブを持つことができ、戦略的に重要な地域で私たちのサッカーポートフォリオを拡大できることを大変嬉しく思っています。日本サッカー界は近年、非常に順調に発展しており、数多くのトップタレントを輩出しています。私たちはクラブと共にこの成功の道の一部となり、経験と専門知識を提供して、将来的には、大宮を日本サッカー界において名門クラブの一つにするために貢献したいと考えています。」

■NTT東日本 代表取締役社長 澁谷直樹氏

「日頃より大宮アルディージャを支えてくださっているサポーター、パートナー、関係者の皆さまに対し、厚く御礼申し上げます。また、話し合いを進めていく中で変わることなく誠意ある対応をしてくださったレッドブルの皆さまに心より感謝いたします。レッドブルの皆さまからは日本のサッカーにかける熱い情熱を感じました。我々よりもスポーツチームの運営経験が豊富であり、大宮アルディージャのファンや伝統を大切にしながら素晴らしい歴史をつくっていってくれることを確信しました。当社はパートナーとして引き続きクラブを応援するとともに、NTTグループのアセットを活用して地域におけるクラブの発展を支えることで、より良い地域社会の実現に貢献していく所存です。今後とも大宮アルディージャへの応援をよろしくお願いいたします。」

■大宮アルディージャ 代表取締役社長 佐野秀彦氏

「日頃より大宮アルディージャへの多くのご支援と温かいご声援をいただき、誠にありがとうございます。
この度、大宮アルディージャはレッドブルをオーナーに迎え、新しい一歩を踏み出すこととなります。レッドブルサッカーネットワークの強みを活かして、さまざまなプロジェクトに参画し地域の皆さまとともに強く魅力あるクラブへの成長・発展に必ずつなげてまいります。そして今回の大きな変革がJリーグ、WEリーグ、そして日本サッカー界の発展にもつながるよう取り組んでいきます。
大切にしていくこと。
それは、これまで地域とともに築きあげてきたクラブのアイデンティティや歴史、そして全てのアルディージャファミリーへのリスペクト。それらを礎に新たな力を取り入れ、果敢にチャレンジしていき、クラブ理念の実現に向け「成長循環型クラブ」を目指していきます。
シーズン途中でのご報告となりますが、男子トップチームは今シーズン必ずJ2に復帰するという目標に向けてブレずに戦い続けます。VENTUSトップチームは9月から始まる4シーズン目においてタイトル争いに絡めるよう良い準備をしていきます。
最後になりますが、1969年の電電埼玉サッカー部の誕生以来、電電関東サッカー部、NTT関東サッカー部、大宮アルディージャと56年にわたりクラブの成長と発展を支えてきていただいた全ての皆さまに深く御礼を申し上げます。
これからも変わらぬご支援、ご声援をよろしくお願いいたします。」

大宮アルディージャがレッドブルサッカーネットワークの一員となることで、サッカーネットワークを活用したトップチームの選手・指導者の育成とパイプラインの構築、パフォーマンス発揮に向けたノウハウの活用、さらには最良な環境への投資を通じた地元出身選手・指導者の育成と地域社会への貢献を実現。

ホームタウン・さいたま市もさらなる発展の可能性を秘めた街であり、主な活動エリアである大宮においてクラブの活動を通じて投資しパートナーシップを結ぶことは、レッドブル、日本サッカー、そして、ホームタウン・さいたま市にとって持続可能な成長を遂げるチャンスであると考えているという。

また、レッドブルのコミットメントは、ホームタウン・さいたま市で引き続き活動を継続することであり、これまでクラブがステークホルダーと育んできたチーム名やクラブカラーなどをリスペクト。クラブが積み重ねてきた26年の歴史をベースに積極的に新たな挑戦を行っていくことで「継続と発展」を示し、クラブ理念の実現と成長循環型クラブとしての取り組みをより加速させて行く、とのことだ。

“リスペクト”という言葉から察する限り、チーム名は大きく変化することなく、「RB大宮アルディージャ」や「大宮RBアルディージャ」のような形になる可能性が高そうだ。

大宮がビッグクラブに?『レッドブル』が所有するクラブの劇的すぎる「ビフォーアフター」

現在、明治安田J3リーグで首位を快走中の大宮アルディージャ。レッドブルの傘下に入ることでクラブが今後どのような成長曲線を描いていくのか大いに注目したい。

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