日本プロサッカー選手会(JPFA)が主催する『JPFAトライアウト』が11日、12日に開催された。今季契約満了を言い渡されたJリーガーたちがピッチ上でスカウトにアピールした。

J1サンフレッチェ広島から今季はJ2栃木SCへ育成型期限付き移籍、J3のFC今治に期限付き移籍していたMF土肥(どひ)航大は、今季引退した広島一筋21年のバンディエラである元日本代表MF青山敏弘への想いを口にした。

MF青山敏弘の背中を追って

トライアウトに参加した12日の時点では出ていなかった契約満了のリリースは、トライアウト後翌日に広島から発表された。

同クラブのユースで育ち、2019年9月にプロ契約を締結。紫色のシャツに袖を通した日々を回想した。

「(プロ)2年目にポジションをつかみかけていたときがあって、そのとき一緒にプレーしていた選手が青山さんでした。自分は(青山と)プレーしているときが一番楽しんでいたと思います」

ピッチ全体をカバーした土肥(右)

憧れのバンディエラと中盤で組んでいた日々が何よりもの財産だ。土肥は広島でリーグ戦19試合に出場し、背番号6のプレーや振る舞い、プロとしての心構えなどを間近で見て育った。

「サッカーだけではなくて、青さん(青山)の人柄であったり、ファンサービスに一番力を入れていたところなど、いろいろな部分を盗んで、吸収できたと思います」

トライアウトでは中盤でプレーした。今季引退したレジェンドを彷彿とさせるようなサイドチェンジやビルドアップでゲームをコントロール。左足から繰り出される長短を組み合わせたパスで攻撃のスイッチを入れた。

また土肥は守備でも奮闘。シーズン終了後も自主練習を欠かさずに行い、この日のために進めてきた準備が、紅白戦の最後まで続いた粘り強いディフェンスにつながった。

移籍先で結果を残し広島に戻る未来を夢見たが、今季は栃木と今治で出場機会を増やせず、両チーム合わせたリーグ戦出場数は5試合に留まった。

それでも23歳は「もうやるしかないという気持ちです。失うものはなにもない」と懸命に前を向いている。

「最初の2シーズンしかプレーできなかったことが(広島のサポーターに)申し訳ないですし、レンタルから活躍して戻りたい気持ちもありました。でも実力の世界ですし、実力が足りなかった。

初めてのチームがサンフレッチェ広島という素晴らしいチームで本当に良かったです。どのような形になるか分かりませんが、成長して必ずあのピッチ…まだエディオンピースウイング広島に行ったこともないので、(試合に)出たいです」と、今季完成した古巣の新スタジアムに戻る青写真を描いた。

まずはJ2やJ3のクラブで活躍したい。土肥は楽しみながら進んでいきたいと、原点に立ち返る必要性を説いた。

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「青さんからはサッカーを楽しむことを教わりました。まだ青さんに連絡できていないので、連絡したいです」と引退した背番号6の想いを受け継ぎ、今度こそ満員の広島サポーターに成長したプレーを披露してみせる。

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