[第103回全国高校サッカー選手権大会3回戦、流通経済大学付属柏高(千葉県代表)2-1大津高(熊本県代表)、2日、千葉・フクダ電子アリーナ]

3回戦が2日に関東圏各地で行われ、流経大柏高は大津高に2-1で準々決勝へ進出した。

流経大柏高の主将DF佐藤夢真(えま、3年-FC多摩)はセンターバックで出場。身体を張ったディフェンスで攻撃の芽を摘み続けた。高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2024ファイナル優勝の大津高との熱戦を制した背番号5は大粒の涙を流した。

引退覚悟の大熱戦

試合終了のホイッスルと同時に涙をこぼした流経大柏高の主将は、「相手は(プレミアリーグファイナルの)チャンピオンですし、本当に負けてもおかしくなかった。自分としては『(高校サッカーを)引退するなら、きょうだ』と思っていました」と感情を爆発させるほどの死闘は壮絶なものだった。

前半36分に先制点を奪った流経大柏高だったが、後半は我慢の時間が続いた。来季J1清水エスパルス内定のMF嶋本悠大(3年-ブレイズ熊本U-15)やプレミアリーグで22試合20得点を奪ったFW山下景司(3年-ソレッソ熊本U-15)らを要する大津高の攻撃陣が牙をむいた。

前半はシュート0本に抑えた赤色の壁だったが、後半は5本打たれるなど、プレミアリーグ覇者は手強かった。

「体感したことのないスピードと強度でしたし、いままでで一番強かったです。自分たちは球際と切り替えのところを徹底してやってきて、どこのチームにも負けたことがなかった。でもそこが五分五分でした。相手に負けていたシーンもありましたし、逆に勝っていたシーンもあった。最後の方は相手に上回られていたので、きつかったです」

徐々に主導権を奪われた流経大柏高は、後半14分に失点。右コーナーキックの流れから、大津高の主将DF五嶋夏生(ごとう・なつき、3年-ブレイズ熊本U-15)がボックス内中央から放ったシュートを防げなかった。

同点に追いつかれ、ざわめいたフクアリ。千葉県代表高の雄姿を一目観ようと集まった観客の心配をよそに、ピッチ上のイレブンはすぐに修正してみせた。

失点後に集まった流経大柏高イレブン

失点後、円陣の中心にいた佐藤は「(榎本雅大監督から)『もしも失点したらみんなで集まって、落ち着いてから試合に入れ』と言われていました。正直、みんなも内心は落ち込んでいたと思うんですけど、笑いながら『この状況を楽しもう』と言ってキックオフしました」と、すぐに前を向いて勝ち越しを目指した。