現在開催中の2026年ワールドカップにおいて、FIFAが義務付けた3分間の「ハイドレーション・ブレイク(飲水タイム)」。

『Front Office Sports』の報道によれば、アメリカでワールドカップを放送しているFOXおよびFOXスポーツは、この時間に追加のCMを流すことで、実に2億5000万ドル(およそ400億円)もの増収を見込んでいるとのことだ。

大会側は、上昇し続ける熱中症リスクから選手やファン、スタッフを守るため、酷暑が予想される都市での試合を夜間に振り替えたほか、さらに前半と後半にそれぞれ1回のハイドレーション・ブレイクを義務化した。さらに、気温や湿度、日射など複数の要素を考慮した暑さ指数(WBGT)が32℃に達した場合は試合を延期する可能性もあるとされている。

『Daily Mail』によれば、その安全対策そのものは歓迎されている一方で、3分間の飲水タイム中にCMを詰め込む手法については、サッカーファンや関係者から「不要な中断」「あからさまな金儲け」との批判が殺到している。

特に反発が強まったのは、メキシコ対南アフリカの開幕戦。FOXはCM明けのタイミングが遅れ、視聴者は試合再開後の数秒間を見逃すことになっていたのである。あるファンは「FOXスポーツは飲水タイムにCMを流しすぎて、終わる前に試合が再開してしまった。もういい加減にしろ。こんなバカげたことはやめろ」と激怒していたとか。

FIFAが放送局に定めたルールでは、「主審がホイッスルを吹いてから20秒以内にCMへ切り替えてはならず、試合再開の30秒前には中継映像に戻らなければならない」としていた。しかしFOXは初戦で早くもルールを逸脱したうえ、2試合目でも同様の規約違反を繰り返したとか。

対照的に、アメリカでのスペイン語放送権を持つ『Telemundo』は、飲水タイム中に全画面広告に切り替えないことを約束。ピクチャー・イン・ピクチャー(小窓表示)での広告活用に留めているとのことだ。

3分間のブレイクが入ることによって試合の流れが止まり、作戦会議も可能になっているため、実質的にはクォーター制であり「サッカー自体が変わってしまう」とも言われているハイドレーション・ブレイク。

放映権料の価格がうなぎのぼりに高騰している現代、それを放送しているメディアにとっては利益を出すための大きなチャンスにもなるわけだが…。果たして、ハイドレーション・ブレイク制度はワールドカップ終了後にどのような評価を受けることになるのだろうか。

筆者:石井彰(編集部)
画像提供:Getty Images

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