――SNS上などを中心に、スポンサーとして様々な活動を行っていますね。その効果を教えてください。
「スポンサー施策をやっていく、特に社内の立場でやっていく中で『本当に効果があったのか』という点は、同じ仕事をされている方々にとって共通で思っている“困る・証明しづらいポイント”だと思います。
弊社としては、毎年サポーターの方々にアンケートをとらせていただいています。その中で、弊社に対して好意的な印象を持っていただいているか、住宅を探したり売ったりという場面になった際に弊社のサービスを使いたいと思うか、実際に直近の期間で使ったか、そういったアンケートの結果を毎年蓄積しています。ホームズが好きでホームズを使いたいと思っている、実際に使ったという声をいただいているので、ここで効果を測っているという感じですね」
――スポンサー施策を行うにあたってはどのようなことを意識していますか。
不動産を借りる・買う・売却する場面って人生でそんなにないですよね。なので、長期的に弊社のことを好意的に思ってくださって、本当に必要になった場面でうちのことを使ってもらうというのは必要かなと思っています。
例えば、これ(ぬいぐるみ)とかサポーターの方にお配りしていて、実際にこれを持って遠征に行ってくださる方もいます。ぬいぐるみをそんなに邪険に扱う人はいないと思います。手元に長く置いていただけるという観点を考えて、「一緒に行こう」とどこかへ行ったり、そういう使い方をしていただければと考えています。

神戸サポーター向けに配布しているうちわ、ぬいぐるみ。うちわの裏側にはヴィッセル神戸の選手たちの姿が(筆者撮影)
これ(うちわ)もその観点です。
先日アウェイ岡山戦を見に先日岡山に行ったら、去年配ったこれを使っている方がいらっしゃったんですよ。普通にチラシを配って、そのチラシを1年後まで保管している人ってあまりいないと思います。こっち(表 ヴィッセル神戸の選手が写っている)の効果が大きいと思うんですけど、うちのこの部分も1年後、手元に置いてくださっているということです。そういった長いスパンで手元に置いてもらえるという点は、企画としてはわりと重要視しています。
――うちわが大量にあるのは心当たりがあります(笑)
「僕もそうなんですけど、スタジアムで貰ったものって捨てられなくて。ずっと昔のやつが残っています。
例えば、実家に帰ってうちわを見たら「あ、ボッティ(2007年~2011年まで神戸に在籍)がいる」とかそういうことがある。手元で大事にしてもらえるというのは、うちわのすごくいいところですよね」
――先ほど、Jリーグの良い点として「サポーターのコミュニティ性」を挙げられていましたが、スポンサー活動の中でそうした点を強く感じたことはありましたか。
「去年の秋にも須磨海岸で清掃活動をしていました。そのときに、サポーターの方がたくさん来てくださいました。

昨年秋の須磨海岸清掃活動の様子(株式会社LIFULL提供)
ちょうど天皇杯決勝の前だったんですよ。前の週とかだった。
そのときサポーターの方がおっしゃっていたことは『徳を積む』というか(笑)。善い行いをして応援しているチームの勝利に貢献しようみたいな思いは、(サポーターには)すごくあると思いますが、その意識で須磨海岸の清掃に来てくださった。
団体で来てくださっているわけではなく、ひとり、ひとりのサポーターがたくさん集まってくださっています。そこでサポーターとして神戸の海をきれいにして、今後につながればいいなという思いで皆さんが来てくださった。そういうところも良かったのかなと思います」
――Tさんはスポンサーとしてnote(ブログ)も書かれています。サポーターのコミュニティに個人としても一企業人としても関わっていくスタイルですね。
「そうですね。(私が)発信したいことは二つあります。
一つ目はサポーターの方に対して、弊社がこういう意図・熱意でスポンサーをやっているということを知ってもらい、応援の輪を広げたいという点。
チーム側でスポンサーの権利を売っている方、代理店の方やスポンサー企業内の担当者。いろんな立ち位置の方々に『うちはこういうことをしていて』というような、情報交換みたいなことも出来ればいいなと思っています。
もう一つはサッカー、スポーツに対して、『こういう関わり方もあるんだよ』というものを自分の仕事から示していければいいなと少し思っています。ぼんやりサッカーの仕事をしたい人は、学生さんにもいらっしゃると思います。そして、いわゆるチームに入って職員として働くという姿が一番イメージしやすいのではないでしょうか。
でも、全然そうじゃない。『一般企業の中でもサッカー、Jリーグ、スポーツに関わることってできるよね』と考えています。それを実際にやっていって、仲間が増えたらいいなと思っています。
取材・編集:久保村輝彦
