[天皇杯ラウンド決勝、J1FC町田ゼルビア 3-1 J1ヴィッセル神戸、11月22日、東京・国立競技場]

神戸は決勝で町田に1-3で敗れ、準優勝に終わった。

大会2連覇、クラブ史上3度目の同大会優勝を目指していた元日本代表DF酒井高徳は試合後、悔しさをにじませた。

「自分の必要な力を出し切れていなかった」

神戸は前半に2失点を許す厳しい立ち上がりとなった。

この日、右サイドバックで先発した酒井は「硬さがあったわけではなかったんですけど、ちょっとふわっと入った感じは否めなかった」と、勢いに乗れなかった立ち上がりを悔やんだ。

また、この日はチーム全体の連係がかみ合わずに、相手に試合のペースを握られてしまった。

「失点の仕方とか時間帯とか、すべてが試合を難しくした。1点目を取られた後とか、2点目を取られた後に落ち着いてできれば良かったんですけど、いいところまで運んだ後に少し慌てる素振りをしてしまって、らしくないミスが全体的に多かった。普段は相手に渡さないようなボールを渡してしまって起点をつくられて、自分たちが戻らなきゃいけないシチュエーションが多かった。その辺の細かいミスとか、全体的にリズムをつかめなかった」

画像: 前への推進力やクロスで存在感を示した酒井

前への推進力やクロスで存在感を示した酒井

後半に巻き返しを図りたい神戸だったが、同11分には町田に3点目を奪われてしまう。

それでも酒井は下を向かず、失点直後には攻撃の構築について選手間で確認し合ったという。

「試合中に失点がどうこう話してもあまり意味がない。得点を取らなきゃいけないし、相手に勝つためにやらないといけないので、逆転するためにどうオーガナイズした方がいいのかとか、どう攻撃の流れをつくったらいいのかを、自分たちの基本のベースがある中で何か変化を加えられた、加えられなかったということを、共通理解というか、そうできたら良かったという話はしました」

すると直後の後半17分に、左サイドでボールを受けたMF佐々木大樹(だいじゅ)の右足のクロスから、日本代表FW宮代大聖が中央に走り込んでヘディング。右のサイドネットにボールが吸い込まれ、神戸が1点を返した。

画像: ボールをキープする酒井(写真左)

ボールをキープする酒井(写真左)

その後は神戸が押し込む時間が続くも、このままスコアを動かせなかった。

神戸の背番号24は、敗因は流れのつかみ方だったと分析する。

「チャンスがあった後に失点してしまったり、失点した後にチャンスを決められなかったり、自分たちの流れに傾けなければいけないシーンで(ペースを)持っていけなかったところが、自分たちが試合を支配できなかった要因かなと」

また、酒井は「チームにとって自分の必要な力を出し切れていなかったと思う。タイトルを取れなかったことにすごく責任を感じています」と、ベクトルを自分に向けた。

神戸を牽引し続けたベテランDFは「立ち止まっていられませんし、いい教訓にしなきゃいけない」とし、「しっかり自分に問いただして、何を求めなくちゃいけないのか、何で貢献しなくちゃいけないのかを(見つめなおして)やっていきたいと思います」と前を向く。

取材・文 縄手猟、写真 浅野凛太郎

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