[AFCチャンピオンズリーグ・エリート第6節、FC町田ゼルビア 3-1 蔚山HD FC、12月9日、東京・町田GIONスタジアム]
町田は蔚山に3-1で勝利し、AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)で2連勝。今年の公式戦ラストマッチを白星で飾った。
この日、古巣との試合に臨んだ町田の韓国代表FWオ・セフンは、チームの勝利を決定づける3点目のゴールを挙げた。

特別な想いを噛みしめながらの古巣戦
オは昨季の韓国王者との対戦を心待ちにしていた。
同選手は、自身が13歳だった2012年に蔚山現代(現蔚山HD)の下部組織に入団して、2018年に同クラブでプロデビュー。
その後、牙山ムグンファFC(当時韓国2部)への期限付き移籍と2年間の兵役を経験し、2021年6月に蔚山に復帰した。
同シーズンに蔚山を退団すると、J1清水エスパルスに移籍。昨季から町田に活躍の場を移している。
そして今季、町田はクラブ史上初のACLEに出場。オは、アカデミー時代から9年間を過ごした蔚山との対戦が実現した。
「日程が出たときから意識していましたし、その中でワクワクしていた部分もありました。それからしっかり準備をしなくちゃいけないという思いは常に持っていましたね」
自身を育て、プロの舞台に立たせてくれた古巣との対戦は、試合中も特別な想いが込み上げてきた。
「自分にとっては本当に意味深い試合でした。きょうは、それを噛みしめながら試合をしました」
2点をリードして迎えた後半2分に、右サイドを駆け上がったMF増山朝陽が中央へふわりとしたクロスを供給。ゴール前中央でフリーになったオがヘディングシュートを叩き込んだ。

得意のヘディングでゴールネットを揺らしたオ
(C)Getty Images
先月25日のACLE第5節江原FC(韓国1部)戦以来、今季公式戦5得点目を挙げたオだが、喜びをぐっとこらえた。
「本当にうれしかったんですけど、セレモニーをしないことがリスペクトだと感じてもらうために、セレブレーションをしませんでした」
その後町田は、蔚山に1点を返されたが、このまま2点リードを守り切った。
年内最後の公式戦を、自身のゴールでの勝利で飾った韓国代表のストライカーは、町田での2年目のシーズンをこのように振り返った。
「自分自身は本当に力不足を痛感しました。その中で最後にゴールで締めくくることができて、そういった意味ではうれしく思っています。ただ、やらなければならないことはいまから多くあるなと」と、今季の反省を糧にする。
来季は飛躍のシーズンへ。古巣戦での一撃を、さらなる成長へ踏み出すための足がかりにしたい。
(取材・文 縄手猟)
