J1での戦いに警鐘を鳴らす鳥海
16年間待ちわびたトップディビジョンでの戦いは、千葉にとって実力を証明するチャンスだ。しかし同時に、これまで積み上げたものが一瞬で崩れ去ってしまうのではないかという恐怖もある。
今季よりJ1セレッソ大阪から帰還した鳥海は、誰よりも早く警鐘を鳴らしていた。
「真面目に一体感を持って戦えるチームですけど、クオリティの部分はもっと上げていかないといけない。この感じでJ1に行ったら絶対に苦しむと思う」
僕はJ1から来ましたけど、パスのクオリティや選手の立ち位置、守備の質はもっと突き詰められる選手たちがそろっている。それはキャンプのときも感じましたし、だからJ1相手に1試合も勝てなかった。でもクオリティはすぐに上がるものではない。サポーターを含めたチームの一体感やまとまり、そういう雰囲気を大事にしながら、1試合1試合を大事にしなければいけないと思います」
J1復帰の余韻に浸る時間はあまりないのかもしれない。

鳥海(写真:縄手猟)
幸いにも、来年2月より開幕する明治安田J1百年構想リーグは昇降格がない。イレブンは、16年間蓄えた力を解放しつつ、同リーグ戦のレギュレーションを生かして、来たる2026/2027シーズンに備えたい。
また、小林慶行(よしゆき)監督の去就も不透明だ。J1昇格PO決勝後の会見で指揮官は、「まだ何も分からない」と来季に向けた言及を避けた。
ただ、未来に向けて語った言葉が一つだけあった。
「もしも千葉にいられるのであれば、もう次の準備を始めなきゃいけない」

J1昇格PO決勝後の小林監督(写真:縄手猟)
長くて険しいトンネルから抜け出した千葉。J1の舞台に戻った名門は、どんな進化を遂げて私たちの目の前に現れるだろうか。
