サッカーを愛した一人のファンの死が、違法ギャンブルサイトの危険性を改めて浮き彫りにした。
イギリスメディア『BBC』は13日、プレミアリーグのリヴァプールの熱心なサポーターだった36歳のオリバー・ロングさんが、2024年2月にイギリスのイースト・サセックスで死亡。検視官は、彼が違法ギャンブルサイトに誘導され、サッカー賭博にのめり込んだ末に「自ら命を絶った」と結論づけたと報じた。
審問では、ロングさんが「深刻なギャンブル依存症」に苦しんでいたことが明らかになった。
姉のクロエ・ロングさんは法廷で、「彼は何度もギャンブルをやめようとし、オンライン自己排除制度『GamStop』にも登録していた」と証言。
しかし、海外の無認可サイトに“狙い撃ち”され、再び賭博に手を出してしまったという。GamStopは正規サイトへのアクセスを遮断する仕組みだが、違法サイトには効果が及ばなかった。
クロエさんは「彼が出会ったギャンブル商品は無害な娯楽ではありませんでした。極めて中毒性が高く、搾取を目的とした捕食的なシステムです」と訴え、「お金だけでなく、心の平穏や未来、そして最終的には命まで奪われた」と語った。
また、「オリーのギャンブルはサッカーだけで、彼の最大の情熱でした」と明かしている。
裁判所では、2023年4月だけで約2万ポンド(約430万円)の貯蓄を失っていたこと、仕事や住居、交際相手も失ったことが報告された。さらに「Not on GamStop」と検索すると、規制外の違法サイトへ誘導するページが多数表示される実態も明かされた。
ギャンブル委員会のティム・ミラー氏は「これらのサイトは、すでに被害を受けている人々を意図的に標的にしている」と指摘し、「一部はテロ組織や組織犯罪と関係する犯罪ネットワークが運営している」と警鐘を鳴らした。
悲劇的な出来事を通じ、違法ギャンブルの実態とリスクに社会全体が向き合う必要性が強く問われている。
筆者:江島耕太郎(編集部)


