現役引退のきっかけになったケガと、オシム元監督の言葉
ーー現役引退を決断するきっかけにもなったケガについて教えてください。
「右ひざがもうダメだったんですよね。高校生のときに半月板の手術をしたんですけど、それが最後の最後は骨同士がぶつかって水が溜まるようになってしまい、毎週その水を抜かなければいけなかった。
それでも練習に参加できないなりに、ベテランとしてチームの雰囲気を調整できる自信はあった。でもクラブからお金をもらっている中で、何も表現できるところがないのは無責任だと思いました。ドクターからは『このひざでよくやっていたね』と言われたくらいでしたから」
ーー限界に近い状態だったんですね。
「オシムさんからも『できない』と言うのもプロだとを言われていました。クラブからは、もう一年プレーするご提案をいただきましたが、オシムさんに教わったことも含めての美学というか、あの状態で続けるのはプロフェッショナルではないと思ったので、引退を決めましたね」

千葉でプレーした羽生さん(ⓒGettyImages)
ーーとはいえ、現役時代の献身的なプレーからは、ひざの痛みを抱えているようには見えませんでした。
「僕は背も小さい(身長167センチ)し、『お前なんか』という評価もあったと思うんですよ。実際に、僕と同い年の選手には小野伸二や稲本潤一、遠藤保仁みたいなミッドフィルダーがいて、彼らのような司令塔的な人たちが、一番いいミッドフィルダーだと言われていましたから。
どこかで彼らと比べていたし、手が届かないと思っていた中で、オシムさんが現れた。そこで『お前は、お前の強みを伸ばせ』と言ってくれて、“考えて走る”プレースタイルが生まれたと思っています」
ーー羽生さんは千葉でナビスコカップ優勝を経験しています。オシムさんの存在も大きかったのではないでしょうか。
「あのときのジェフって、Jリーグの中で見てもタレントがそろっているわけではなかった。それでもオシムさんが、一人ひとりの強みを生かして勝てるチームにしてくれた。
これは一般社会の人たちにも当てはまることだと思っています。みんなが働きがいを持って、自分の自己肯定感を高めながら、組織としても『俺たちでもやれるんだ』という考えを持ってもらうことは、社会貢献につながると思いました」
