サッカー選手としての経験をビジネスの世界でも
ーーオシムさんの言葉や考え方は、世のビジネスパーソンにも当てはまることなんですね。
「サッカーだって、一人の選手がボールを持っている時間なんて2分くらい。じゃあ残りの88分間でどうやってチームに貢献できるかを常に考えるべきだと、僕はオシムさんから教わりました。
それは攻撃でも守備でも当事者意識を持って取り組むということだと思うし、その考え方が大事なのはサッカーも人生も一緒だと、言われました」
ーーオシムさんから学んだことを、少しでも多くの人に伝えたいという想いなんですね。
「そうですね。だから『こういうビジネスだったら儲かる』みたいな考えの人が一定数いると思うんですけど、Ambition22でそれはまったくなくて(笑)。 とにかく自分にできることと、オシムさんの考え方をもっといろいろな人に知ってほしいという想いで、模索しながら進めてきました」

ジェフユナイテッド千葉を指揮したイビチャ・オシム氏(ⓒGettyImages)
ーー羽生さんが描く、今後のビジョンを教えてください。
「実はジェフのスタッフと連携を取りながら始めている千葉を活性化させる事業として、『AMBITION for CHIBA』をやっています。僕は千葉県出身者として、地元を盛り上げたいと思っている中で、やっぱりジェフって千葉をリードしている存在の一つであり、アイコンだと思っています。
だけど、もっとリードしていけるような存在になるべきだと思うし、地域の方や企業さんと一緒に千葉県を活性化できる力をジェフは持っている。OBとして、ジェフと協力しながら地域を盛り上げていきたいというのが、いまの目標ですね」
ーー今季の千葉はJ1で戦いますし、より一層の期待がかかりますね。
「僕が2017年にジェフへ戻ったときは、それまでの自分の経験を少しでも還元できると思ったし、ジェフをJ1に戻すことが最後のチャレンジだと思っていました。
だからその目標が達成できなかった責任感を感じていた中で、今回(J1に)上げてくれたので、本当に『すごいな』という気持ちですね」
ーー羽生さんがジェフと一緒に千葉県を盛り上げていくのか楽しみです。
「そうですね。だけどこれはジェフだけの話ではなくて、千葉県の企業さんに対しても思っていることです。それこそオシムさんがビッグクラブのオファーを断ってジェフに来てくれて、クラブを一気に強くして、新しくできたフクアリ(フクダ電子アリーナ)を満員にしたみたいに、そういう夢をもっといろいろな方に持ってほしい。
そのために、オシムさんやジェフでの経験を持つ僕が価値を提供できたり、ジェフや各スポーツクラブと連携して、千葉県をもっと活性化できれば一番いいと思っています」

(写真:本人提供)
現役時代から自分自身と向き合いながら、様々な決断をしてきた羽生さん。オシム元監督の言葉を自分の中でかみ砕きながら、最良の選択を模索してきた経験は、ビジネスの世界でも生きている。
そして今度は、自身がサッカー選手として培ったものを、地元の千葉県やビジネスパーソンにも還元していく。羽生さんと、Ambition22の今後の活動から目が離せない。
(取材・文・構成:浅野凜太郎)

