――白血病の過酷さが描かれた前作『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』は、かなりの反響があったのではないかと思います。
そうですね。綺麗な物語が描かれていたこともあって、読者の皆さんから「読みやすい」という声や、「希望や頑張る力をもらいました」といった言葉をたくさんいただきましたし、今まさに病気と闘っている皆さんに思いを届けられたんじゃないかという実感もありました。
――約6年ぶりの2作目は、いつ頃から制作を進められたのですか?
最初に話が出たのは、今から1年半〜2年前だったと思います。「プロ選手として10年目を迎えるタイミングで、伝えたい思いを書籍にまとめられたらいいね」という話になりましたが、僕が目に見える結果を出せていなかったこともあり、最初はあまり乗り気ではありませんでした。
でも、「結果云々だけではなく、快復した今もなお病気になった自分自身を受け入れられていない僕の心や、日頃から僕のことを支えてくれる方々のこと書籍にまとめたら、多くの気づきを届けられるのではないか?」という流れになり、自ずと描くストーリーが仕上がっていきました。

©ALBIREX NIIGATA
――2019年からこれまでに、早川さんの人生にもさまざまな変化がありました。結婚やお子さんの誕生、さらにはチームのJ1昇格や降格……。表向きは幸せな人生を歩んでいるようにお見受けしますが、一番辛かった時のことを聞かせてください。
そうですね。白血病をなんとか克服し、プロサッカー選手としてピッチでプレーすることができた。
僕自身としては、「それで全てが完結し、また新たな物語が進んでいくのかな……」と思っていましたが、実際にプレーをしてみると、病気の影響を節々に感じることがあって。治療を終えた後も、病気と付き合っていかなければいけない自分自身を受け入れざるを得ない状況が一番辛かったですね。
でも、「病気の自分の姿」を受け入れられていなかったから、これまでもがき苦しみ続けていたこともわかって、それに気づけたことは大きな一歩だったと思います。
――早川さんが心の葛藤と向き合い、乗り越えるために心がけたことはありますか?
病気のことを本当の意味で受け入れ、自分のうまくいかないことやできないことも含めて、しっかり認めてあげる。
そして、昨日の自分が、明日はより良い自分でいられるように、チャレンジを続けていくことが大切なのかなと思います。
あとは何といっても、妻や長男と過ごす時間に本当に助けられていて、家族のことを考えることが増え、自ずと苦しいことに向き合う時間が少なくなったことも、僕にとって大きかったと思っていますし、二人の存在が心の支えになっています。

Getty Images 早川選手の闘病中に、ベンチに掲げられていたユニフォーム
――早川選手は今も治療を続けられているのですか?
今は年に一度定期検診に通うだけで、治療は行っていません。制限のない日常を過ごせているのは本当にありがたいのですが、過去の病気だった自分の姿を簡単に消し去ることもできなくて。
人の目に触れることの多い職業ですし、順調に物事が進んでいるように見えるかもしれませんが、実際は苦しみや葛藤を抱えながら、明日はより良い自分になれることを目指して歩み続けていること。それをサポートしてくれる周囲の方や家族の思いを、書籍を通じて伝えられたらなと思っています。
――2作目の著書『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』の見どころを教えてください。
僕が特にお勧めしたいのは、妻の真優(まゆ)が書いてくれた章です。
僕が発した言葉が、妻にはどのように届いていたのかを客観的に知ることができて、改めて自分自身を見つめ直す機会になりましたし、初めて読んだ時には涙が止まりませんでした。
僕自身も、書籍の制作を通じて妻の気持ちをより深く理解できたと思いますし、家族の絆がより深まったようにも感じています。家族みんなが健康で、笑顔を絶やさずに日常を過ごせることが僕の理想なので、大切な家族との絆を背に、これからもさまざまな物事に立ち向かっていけたらと思っています。

主催者提供
■書誌情報
タイトル:ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常
著:早川史哉 早川真優
定価:1,980円(税込)
発売日:2026年1月28日(水)
判型/ページ数:四六判/192ページ
発行:徳間書店
取材:JUN.S


