Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊コラムの中坊氏によるコラムをお届けします。
定期的に沸き上がるAFCの東西分割論
AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)およびAFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)をJリーグクラブが戦う中、定期的に湧き上がる論調がある。
それが「AFCは東アジアと中東で分割が望ましい、東西分割すべきだ」という論だ。
ACLにおいて東アジア側の不利な状況、そしてACLの大会改革後は中東クラブ側が優勝し続けている状況について、多くの日本人サッカーファンは、怒りの声をあげている。
「中東の西側諸国があまりにも有利なレギュレーション」
「ここまで中東びいきが続くのはおかしい」
「ACLだけでなく、W杯の最終予選におけるプレーオフでもあまりに露骨な中東集中開催が行われている」
これはもう究極的には、「カネを獲るか」、「名誉を獲るか」の二者択一と筆者は考える(後者は「公正さを獲るか」でも良い)。
カネを獲るか、名誉を獲るか
現在、ACLEにおいては準々決勝以降、「ファイナルステージ」としてサウジアラビアでの集中開催となっており、過去のACLのようにホーム&アウェイでのフェアな対戦方式とは異なる。
中東集中開催は極端に西側有利なレギュレーションだ。
しかし、その代わりに賞金額は凄まじく、Jリーグクラブ側も多大な恩恵を受けるのも事実。
一方で、前述のフェアにH&Aで開催していた過去のACL賞金は僅少だ。ガンバ大阪や浦和レッズが優勝した時の賞金額は当時円高だったとはいえ、たったの6,000万円である。同じ大会であるにもかかわらず、今の15億円超えの優勝賞金と雲泥の差だ。
過去のACLは遠征費で大赤字であり、クラブ側にとっては経費面で大変な大会だった。それが改善されている。例えJリーグクラブが優勝できなくても、ベスト8、ベスト4までいけば億超えのカネを掴むことができる。
実際、準優勝の町田ゼルビアは10億円、ベスト4のヴィッセル神戸は4億円の賞金を手にした。そしてそれはJリーグの大会賞金を超える。
東西分割で問題は解決するのか?
東西分割により清貧なACLを望む声が一定数あるのは理解するし、それが正論なのも事実。
だが、この賞金額を捨てることが本当に良いのか、という疑問、そして東西分割して東アジアで独立した組織を立ち上げた場合、そもそも韓国や中国交えて公明正大な運営ができるのか?という疑問もある。
韓国Kリーグで起きた全北現代モータースの八百長という大問題(自殺者まで出た)や、中国では中国超級において多くのクラブが解散に至っている実情等踏まえると、サッカーファンが望むクリアでフェアな運営が東西分割で本当にできるという保証はどこにあるのだろうか。
あたかも中東諸国だけに問題があるかのような見方は極めて近視眼的であり、短絡的な発想と言わざるを得ない。
今のACLEは極めて理不尽な制度ではある。しかし、中東諸国側がスポンサーについてるからこその莫大な賞金額であり、その莫大な賞金をJリーグクラブ側が獲得し続け、設備投資や人的資本に投資していくのが現実的な採り得る道ではないだろうか。
それこそ、2023-24シーズンのACLEで準優勝を成し遂げた川崎フロンターレは、10億円近い賞金を半分近く選手達に還元したという。
選手側の立場からすれば、過去の賞金6,000万円の時代より実入りは多く、こんなボーナスを受け取れるなら嬉しいだろう。どんなに過酷でも現行のACLEに挑みたいはず。
中東諸国が天文学的な補強費を投じて挑んできて、Jリーグクラブにとっては絶好の強化の機会である。
それは長い目で見て、日本代表の強化にも通ずる。そのうえ、多額のお金まで用意してくれている、そう考えれば悪くない。
筆者:中坊(中坊コラム)
1993年からサッカーのスタジアム観戦を積み重ね、2025年終了時点で1,029試合現地観戦。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。日本国外の南米・ヨーロッパ・アジアへの現地観戦も行っている。
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