3.天皇杯

天皇杯は1921年に初開催。

日本サッカー界で相当な歴史があり、それこそ1993年にスタートしたJリーグよりも遙かに歴史がある。

一方、Jリーグ開幕以前の1921~1992年の天皇杯優勝実績は考慮されず、各クラブはどこも星を付けていない。

Jリーグと旧日本リーグは別物であるため、1992年以前の優勝実績の星を付けないのは理解できる。1992年以前に古河電工(現・ジェフユナイテッド千葉)、ヤンマー(現・セレッソ大阪)、日立製作所(現・柏レイソル)等々が優勝しているが、クラブ名も変わっているので、「あの当時優勝したクラブと今のクラブは別物」と線引きして区切るのも理解できる。

一方、1993年以降の話で言うと、「星を付けるのはリーグ優勝かアジアタイトルのみ」原理主義の人達からすると、古くからの伝統がある天皇杯でも、優勝して星を付けることは認めがたいという形だ。

例えば2020年はコロナ禍のため、感染防止の観点から規模を大幅に縮小して開催。

J1ではたった2クラブ(川崎フロンターレとガンバ大阪)のみ参加。しかも準決勝から参加のため、2回勝てばタイトル、という例年より遙かに容易に優勝できる仕組みだった。

これだけレギュレーションが違う形になっても等しく星を付けていいのか?という批判も当時、川崎とG大阪以外のサポーターが挙げていたのを覚えている。

なお、ルヴァンカップとどちらが重いかどうかの議論はあまりなく、それこそ「天皇杯優勝で星を付けるが、ルヴァンカップ優勝では星を付けない」というクラブは存在しない。

4.アジア

ACLことAFCチャンピオンズリーグ。

Jリーグ優勝と同格、もしくはそれ以上と認識するサッカーファンもいるほどの価値がある大会だ。

そのため、ACLを制した浦和レッズ、ガンバ大阪、鹿島アントラーズは当然、ユニフォームに星を付けている。

しかしここで大きな論点がある。

ACL優勝で星は付けているが、その前身のアジアクラブ選手権優勝では付けていない。

具体的には1999年、アジアクラブ選手権で優勝したジュビロ磐田。

テヘランの地で完全アウェーの舞台ながら勝利をおさめ、1993年Jリーグ発足後、唯一のアジアクラブ選手権優勝を成し遂げたJクラブである。

(さらに言えば、1998-99、1999-00、2000-01と3年連続で決勝進出を成し遂げた前人未踏のアジア最強のクラブだった)

個人的には、これは一番の問題と認識している。

ACLとアジアクラブ選手権は同格であり、優勝の難易度も同等。

大会の価値として星を付けるに相応しいものだが、磐田は星を付けていない。

この長年の疑問について、超古参の磐田サポーターの方に聞いた際の回答は、以下の通りだった。

「クラブもユニフォームに星を3つ(Jリーグ優勝)しか付けてませんし、(アジアクラブ選手権優勝を)伝承する気もないようです」
「もっとも、現場のサッカーの方針すらまともに持ってないので、歴史をどう扱えば良いのかなんて考えてないと思われます」

これは本当に残念なことである。

もちろん、仕方ない部分もあり、上記のやりとりの際、さらに質問もしたが、以下の通り。

「あの当時(1999年頃)のアジアクラブ選手権でテヘランやリヤドまで行った人で、今のヤマハスタジアムにも足を運んでいる人はどの程度いらっしゃるのか?」

「サポーターも世代交代して、かなり少ないと思います。2004年、2005年のACLに行っていたサポーターすら、今も毎試合行っている人は少ないのではないか」

何十年の歴を持つサポーターですら世代交代により、90年代や2000年代のアジアクラブ選手権、ACLでの海外アウェーを経験した人達が既に現場を離れているとなると、もっと在籍・離籍サイクルの早いクラブフロントスタッフでは、あの当時をリアルタイムで経験した人はもはやほぼ残っていないのだろう。

となると、1998-99のアジアクラブ選手権優勝で星を付けていないことにクラブ内で疑問が出ることもないし、付ける価値を感じていない、ということとなる。

サポーター側も、古参の方々はどんどん減る一方で、アジアクラブ選手権の存在を全く把握していない新規サポーターが逆にどんどん増える一方なことを踏まえれば、おそらく、磐田がアジアクラブ選手権を優勝したことの価値は忘れ去られて行く運命なのかもしれない…。(これは悲しい!)

なお、アジアクラブ選手権とは別に、ACLの前身の一つと言えるアジアカップウィナーズカップ、こちらも1993年以降では横浜F・マリノス(1992-93)、ベルマーレ平塚(1995)、清水エスパルス(1999-00)の3クラブ(+横浜フリューゲルス)が優勝を成し遂げているが、こちらについては、F・マリノス以外はユニフォームに星を付けている。

感想

以上、リーグ、カップ戦、アジアと様々なカテゴリーにおいて星を付けるか付けないかの論点を列挙してみたが、改めて、星の有無でここまで語れるというサッカー界の面倒くささを強く感じる。

最後まで読んでみて、

「星一つでこんなにグダグダ語る熱量、別のことに活かせよ」
「ユニフォームの売上げ増加材料でしかないんだし、そんな真剣に考えることか?」

と、呆れるのか、もしくは、

「星は先人達が成し遂げ、積み上げた偉大な功績であり、軽く考えるものではない」
「応援するクラブの歴史であり、歴史を軽んじてはならない」

と本気で考えるものなのか、あなたはどちらだろうか。

自分としては、最初に述べた通り、

「誰に迷惑かけているわけでもないし、各クラブで好きにせぇ」

ではあるものの、ここまで4000字以上に渡って熱く語っていることを踏まえると、自分でも結構こだわりがあって、色々思うところはあるんだなと客観視させられる…。

筆者:中坊(中坊コラム)

1993年からサッカーのスタジアム観戦を積み重ね、2025年終了時点で1,029試合現地観戦。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。日本国外の南米・ヨーロッパ・アジアへの現地観戦も行っている。
中坊コラム:https:note.com/tyuu_bou X:https:x.com/tyuu__bou

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