難しいゲームになってしまった

試合後は監督会見。ファイナルセレモニー開催の関係で、まず鹿島・鬼木達監督から。

報道陣の質問に対し、「難しいゲームになってしまった」と語った指揮官。チームとして今まで蓄積した部分を、全て神戸側に上回られた結果のスコアといい、「雰囲気にのまれてしまった」と振り返る。

リーグ戦の総失点がわずか「9」だった鹿島は、この試合無得点かつ3失点以上。いずれも今シーズン初という結果には、攻撃については前進や、相手を剥がしてのアプローチがうまくいかなかったという。失点に関しては、ミスを繰り返した結果という。“初”ということもあってか、最後は集中力を切らしてしまったと指摘する。

位置づけとしては“決勝戦”ともいえる試合だったが、「この一戦にかける意気込みが自分も含めて足りなかった」と語りながらも、ホーム・メルカリスタジアムでの第2戦は、「最後まで諦めることなく戦おう」と、選手にも声をかけたという。

選手側もショックが大きかったようで、三失点目以降は「混乱してしまった」と語り、「自分たちのやりたいことができなかった」と柴崎岳は神妙な面持ちで語る。ショックが引かないのか、鈴木優磨は報道陣からの質問に対して素通りし、バスへと乗り込んだ。

This is Vissel

対する神戸のミヒャエル・スキッベ監督は、「『これがヴィッセル』というのを見せられた」と満足気に振り返るも、「これで気を緩めてほしくない」と早くも次戦に目を向けた。

試合前には、「このサッカーをしていたら未来がない」と語り物議をかもしていた中で、有言実行を果たした大迫。文句なしのMVPにも、「最善を尽くせば勝てる」「手ごたえを感じられる試合を、毎回していきたい」とあくまでも冷静に振り返り、難しい体勢で決めた3ゴール目も、「合わせるだけ」と語る。

4点目となるPKのキッカーを務めた小松は、「少ない時間でも数字を残せてよかった」と“結果”を残せたことに満足しつつも、ハットトリックを譲ってもらう形となった大迫が、その後一度はゴールポストにきらわれながらも、最終的に「達成」したことに対して、ただただ驚嘆するだけだったという。なおウイングでの出場は人生初だそう。

大迫と並ぶチームの主軸である武藤や酒井も、「やりたいことのすり合わせ」が結果に繋がったと満足気に振り返り、2点目のアシストを決めた武藤は、素早い対応で殊勲のボールパーソンに対し、「12番目の選手」と大絶賛。

トゥーレルの負傷退場で、難しいかじ取りを迫られた守備陣だが、代わって入ったンドカは、「最後美味しいところを持っていけた」と、チーム全体でとりわけ高いモチベーションをもって臨んだことがうかがえた。3点目を決め攻守にわたる活躍を見せたジエゴも、「自分たちに有利な展開だからこそ、DFラインを引き締めた」と語り、4バックに戻し効果的なラインアップも見せ、交代メンバーも含め、選手それぞれがひとりひとりの役割に徹したことが一番の勝因といえよう。

変則だろうと大会は大会

秋春制でのJリーグを迎えるにあたり、空白の半年を埋めることを目的としたのが百年構想リーグ。W杯を控え、ACLは例年通りのレギュレーションという難しい状況ではあったが、「変則だろうと大会は大会」と言い切ったのは酒井高徳。

この日負傷したトゥーレルの他にも、キャプテン山川哲史、扇原貴宏、佐々木大樹など、相次ぐ負傷者に悩まされてきた今シーズンの神戸。名古屋戦ではトゥーレルと前川黛也が“衝突”し、救急車で搬送するなどもしている。

それでもクラブスローガンである「一致団結」を合言葉に、様々な選手が台頭し、満田誠が途中加入するなど、この半年間で選手層の厚みを見せることとなった。

アウェイ・ガンバ大阪戦では、この日と同じ0-5で敗戦を喫するなど、道中決して平たんな道のりだったわけではない。先述の話し合いもあり、監督選手双方に思うところはあっただろう。そうしたチームビルディングの甲斐もあり、大一番で結実した。

もっとも、ホームで第2戦を控えている鹿島も、これで終わるとは到底考えられない。死力を尽くして向かってくる常勝軍団との最終決戦が、今から待ち遠しい。

(取材・執筆:向山純平)

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