J1の名門クラブで、試合後に選手や家族を標的としたSNS上の誹謗中傷が相次いで発生している。
6月2日にはJ1の浦和レッズが、そして2日後の6月4日には同じくJ1の名古屋グランパスが、それぞれ悪質な投稿への対応を公表し、法的措置も視野に入れた厳正な対応方針を示した。
名古屋は、5月17日に行われたJ1百年構想リーグ第17節のセレッソ大阪戦後、一部所属選手に対してSNS上で極めて悪質なダイレクトメッセージ(DM)や投稿が確認されたと発表した。
クラブは、選手の安心・安全を脅かす行為であるとして強く非難。「いかなる理由があろうとも誹謗中傷や他者を攻撃する言動は容認しない」と明言したうえで、「誹謗中傷と捉えられる言動や行動をする人はグランパスファミリーではない」と厳しい姿勢を示した。
さらにクラブは、弁護士など外部専門家と連携しながら、発信者情報開示請求や損害賠償請求、刑事告訴を含む法的措置の検討を進めていることも公表。選手やスタッフが安心してプレーや活動に専念できる環境を守ることが最優先だと訴え、SNSを互いに敬意と思いやりを持って利用するよう呼びかけた。
一方の浦和も、5月31日に行われたJ1百年構想リーグプレーオフラウンド第1戦のファジアーノ岡山戦後、一部選手のSNSアカウントに対し、選手本人だけでなく家族の人格を傷つける誹謗中傷メッセージが寄せられていたことを明らかにした。
浦和は声明の中で、「どのような理由があったとしても、選手・スタッフ、もしくはその家族の尊厳を傷つける行為は批判の域を大きく超えた人権侵害」と強調。「いかなる理由があろうとも断じて容認しない」として、すでに証拠保全を行っており、警察への通報や法的措置を含めた対応を具体的に検討していることを公表した。
近年、スポーツ界では選手や審判、クラブ関係者に対するSNS上での誹謗中傷が社会問題化しており、Jリーグでも各クラブが声明を出して警鐘を鳴らすケースが増えている。今回の名古屋と浦和はいずれもリーグを代表する人気・名門クラブであり、短期間のうちに相次いで同様の被害を公表したことで、問題の深刻さが改めて浮き彫りとなった。
両クラブに共通するのは、単なる批判と人格攻撃を明確に区別し、悪質な投稿については看過せず法的責任を追及する姿勢を打ち出した点。SNSがファンとクラブ、選手をつなぐ重要なコミュニケーション手段である一方、その匿名性を利用した人権侵害行為への対応は、Jリーグ全体にとっても大きな課題となっている。
今回の一連の発表は、勝敗やプレー内容への意見表明と、選手や家族への誹謗中傷は全く別のものであるというメッセージを改めて示した形となった。
筆者:奥崎覚(編集部)
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