ワールドカップのピッチ外で政治的緊張が高まるなか、イラン代表のエースがサッカーの本質を強調した。

アメリカのスポーツ専門局『ESPN』は現地時間14日、イラン代表FWメフディ・タレミが、16日にロサンゼルスで行われるニュージーランドとのワールドカップ初戦を前に記者会見に出席し、「私たちはサッカーをするためにここにいる」とコメント。政治問題と距離を置く姿勢を示したと報じた。

イラン代表は、今年2月に発生したアメリカとイスラエルによるイラン攻撃をきっかけとした地域情勢の悪化の影響を受け、ビザ発給問題に直面。予定していたアリゾナ州での事前キャンプを断念し、メキシコへ拠点を移すことを余儀なくされた。また、一部スタッフは米国への入国が認められなかったという。

さらに、試合会場となるSoFiスタジアム周辺では、アメリカ内最大規模のイラン系コミュニティを抱えるロサンゼルスで大規模な抗議活動が行われる可能性も報じられている。

こうした状況のなか、タレミは「国内に住むイラン人も海外に住むイラン人も尊重している」と強調。「サッカーは人々を結びつけることができる。私たちはすべてのイラン人のためにプレーする」と語り、政治的立場の違いを超えたイラン人の団結を訴えた。

また、「どの国にも異なる意見を持つ人々はいる。しかし私たちは人々を一つにするためにここにいる」と述べ、自身や代表チームが政治に関与する立場ではないことを改めて説明した。

会見の最後には、政治や抗議活動に関する質問が続いたことに触れ、「サッカーに関する質問は一つもなかった」と苦笑い。「明日は素晴らしいニュージーランド代表との試合だ。観客のために良いサッカーを見せたい」と対戦相手への敬意も示した。

政治的な話題が注目を集める大会となるなか、タレミの言葉は、少なくとも選手たちがピッチ上でサッカーに集中しようとしていることを印象づけるものとなった。

筆者:江島耕太郎(編集部)
画像提供:Getty Images

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