サッカーの祭典の裏側で起きた異例の出来事に対し、FIFA(国際サッカー連盟)が救済措置を講じることになった。

イギリスの公共放送局『BBC』によると、2026年ワールドカップで審判を務める予定だったソマリア人主審オマル・アルタン氏に対し、FIFAは大会報酬を全額支払う方針を決めた。アルタン氏は米国入国を拒否されたため大会への参加が不可能となったが、FIFAは経済的な不利益を被らないよう配慮したという。

アルタン氏は2025年のアフリカ年間最優秀主審に選ばれた実力者で、ソマリア人として初めてワールドカップで笛を吹く予定だった。しかし、アメリカ・マイアミ国際空港で約11時間にわたり事情聴取を受けた末、外交旅券とビザを所持していたにもかかわらず入国を認められなかった。

アメリカ当局は「テロ組織関係者との関連」が理由と説明したが、本人は疑惑を否定している。

今回のケースは、今大会を巡る米国のビザ・入国問題の象徴的な事例となった。大会前からイランやイラクなど一部関係者の査証発給問題が報じられており、アメリカ政府による厳格な入国審査が大会運営に影響を与えるのではないかとの懸念が各国から上がっていた。

FIFAは入国可否の決定権は開催国政府にあるとの立場を示しているが、アルタン氏の除外は国際大会における公平性を巡る議論を呼んでいる。

それでもアルタン氏の評価は揺らいでいない。欧州サッカー連盟(UEFA)は同氏を8月のUEFAスーパーカップ担当審判に指名しており、FIFAの報酬全額支払い決定と合わせて、世界のサッカー界が同主審への信頼を示した形となった。

筆者:江島耕太郎(編集部)
画像提供:Getty Images

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