J1・ガンバ大阪は2024年3月、オランダの名門クラブとして知られるAFCアヤックスとフットボール戦略パートナーシップの合意に至ったことを発表した。
契約締結から約2年の月日が流れた今、提携によってどのような好循環が生み出されたのか?経営企画部・担当部長の山﨑敏氏と、アカデミー部でサブダイレクターを務める足髙裕司氏にインタビューし、本音に迫った。
プロフィール
・山﨑 敏(経営企画部・担当部長/写真左)
・足髙 裕司(アカデミー部・サブダイレクター/写真右)
「伝統を継承しながら、先を歩んでいる」アヤックスのすごさ

(C)Getty Images 昨シーズンは日本代表の板倉滉選手もプレーした。(2026-27年はボルシアMGに移籍)
――AFCアヤックスは、オランダの首都アムステルダムに1900年に創設され、UEFAチャンピオンズリーグ(旧欧州チャンピオンズカップ含む)を計4度制覇した名門クラブですが、交流を深める中で、その歴史や伝統を感じるような場面もあるのでしょうか?
山﨑:そうですね。ヨハン・クライフ氏が作ったクラブの基礎や考え方を、今もスタッフ全員が大切に継承していて、組織としての強さがある。一方でそれに固執するわけではなく、崩さない部分を残しつつも、さまざまなノウハウを取り入れて、時代の先を歩んでいる。その姿勢が素晴らしいなと感じました。
例えば、育成の現場では「目に見えない認知力」を測定する指導を行なっていて、これまでにない指標を定量化し、選手それぞれの評価に繋げています。クラブが長年培ってきた骨格を大切にしながら、あくなき挑戦を続けているアヤックスの姿勢は、我々にとっても魅力的だなと思います。
足髙:「育成のアヤックス」と言われていますが、その言葉通り長年に渡り、アヤックスのアカデミーを経て、五大リーグやワールドカップで活躍するような選手を輩出していて、近年もチームから羽ばたいたマタイス・デ・リフト選手(2016-19年在籍/現、マンチェスター・ユナイテッド)、フレンキー・デ・ヨング選手(2016-19年在籍/現、FCバルセロナ)のようなプレーヤーが各地で活躍を見せています。
「世界で最も大規模な育成型クラブ」と言っても過言ではありませんし、アヤックスが長い歴史の中で培ってきた卓越した育成メソッドや世界中に張り巡らされたスカウトのネットワーク、恵まれた環境含めて、学ぶべきものが本当に多いなと感じています。

(C)JUN.S 昨季はACL2で優勝を手にしたガンバ大阪。今年から夏の開幕となったJ1リーグ制覇に向けた機運も高待っている。
――リーグ戦も幕を開けましたが、チームの強化に関してはどのような取り組みを考えていますか?
山﨑:アヤックスが「育成型クラブ」である点は、私たちとしても特に共感していて、学ばなければいけないところかなと感じています。
アヤックスは、毎年のように人材流出し、平均年齢が20歳前半くらいの選手を先発に多く起用しながらもCLやELで上位に勝ち進んでいて、「育てて勝つ」を体現しています。
Jリーグでは、強かったクラブが急に順位を下げてしまうようなケースもたまに見られますが、多くの人材を海外クラブへと輩出していくアヤックスの手法を参考にしながら、私たちも才能に溢れる若手選手が躍動し、経験豊富な中堅、ベテラン選手がバランスよく配置された力強い編成で勝ち点を積み上げながら、結果を残していきたい。
そのような流れを続けられるようになれば、やがて競技面でも、事業においても強いクラブになれるんじゃないかと思っています。
足髙:現在のトップチームには36名、アカデミーには16人在籍している状況です。
備考:取材時点(百年構想リーグ)
アヤックスの良い部分を参考にしながら、私たちもこれまで以上に「発掘」「育成」「輩出」の流れを加速させていきたいですし、特に現在プレーしているアカデミー生には、「身近なところに世界や日本代表での活躍があるんだ」と感じながら、目標を持ってプレーしてほしいと思っています。
幸いなことに、クラブにはその手本となれる先輩がたくさん在籍しているので、ガンバ大阪での活躍を経て、海外に羽ばたいていくようなキャリアパスを示していきたい。そのような思いで、日々若手選手たちと向き合っています。
世界を知ることでさらなる成長を促す

(C)GAMBAOSAKA ガンバ大阪のユースに在籍する7選手が「Olympia Future Cup」に出場。言語や文化の異なる外国籍の選手たちと共にプレーする慣れない環境ながらも、プレーで存在感を示した。
――Jリーグの新シーズンが幕を開けましたが、若手選手の活躍をチームの強化に繋げていくために必要なことは何でしょうか?
足髙:宇佐美貴史選手や堂安律選手をはじめとする多くの選手が、いわば“飛び級”のような形で、若いうちからチャンスを掴み、やがて世界に巣立っていった。その点では選手が育つ環境はクラブとして整っているように思います
また少し趣旨は異なりますが、ユース選手がアヤックスの主催する「Olympia Future Cup」(2026年4月)に参加し、世界のトップレベルを間近に感じられたことも、多くの刺激を
得られ、成長に少なからず寄与しているんじゃないかなと。ユース時代にヨーロッパでのプレーを経験したり、ガンバ大阪のトップチームの一員としてACL Twoを制したりするような経験は、その後の選手のキャリアを考えると、すごく大切なことなのかなと感じました。
――アヤックスとの提携は3年目を迎えましたが、サポーターの皆さんは今後についても気になっているんじゃないかと思います。
山﨑:より幅広く、親密な方向性を築く方向で、まさに話し合いを進めている最中です。これまで同様、私たちがオランダに出向いて学ばせていただいたり、気になった時にオンラインですぐに意見交換したり、現地で若手世代を指導しているコーチのメソッドをユースの皆さんに伝えられるようにしたり。双方の発展につながるようなさまざまな可能性を協議しています。
取材:JUN.S

