今夏、リヴァプールの監督に就任したアンドニ・イラオラ氏。スペインのバスク地域で生まれ、アスレティック・ビルバオの選手として長く活躍した名プレーヤーである。
引退後は指導者に転身し、AEKラルナカ、ミランデス、ラージョ・バジェカーノと小さなクラブで成功を収めたあと、ボーンマスでイングランドに進出。2024-25シーズンにはプレミアリーグで9位というクラブの歴史上最高の成績を残し、今夏リヴァプールへとやってきた。
ワールドカップで優勝したことで一層注目を集めるスペイン。そしてその中でもバスク地域はミケル・アルテタ、シャビ・アロンソ、ウナイ・エメリなど名指揮官をも生み出す場所として知られている。
『Guardian』によれば、アメリカツアーのために米国を訪れたイラオラ監督は、記者会見で「バスクやスペインの強さの秘訣は?」と聞かれて以下のように語ったそうだ。
「なぜバスク、特に多くのバスク人監督がこのレベルに到達し、スペインのチームが多くのものを勝ち取っているのかとよく聞かれるんだ。
そして私はいつも、連帯感(コレクティブ)が非常に重要だと言う。スペインには、これまで最高のアスリートがいたわけではない。水泳やボクシング、陸上競技を分析すれば、スペインがメダルを量産することはないのだ。
しかし、集団スポーツとなると彼らは非常に強い。サッカー、バスケットボール、ハンドボール、ホッケー……。我々は常にチームを第一に考える。例えばロドリがそうだ。彼はゴールもアシストも決めなかったが、最終的にスペインはワールドカップを制し、彼は大会最優秀選手に選ばれた。『チーム・ファースト』という考え方は、我々の育ちの中に常に組み込まれているのだ。
社会の中にも何かがあるはずだよ。サッカーだけの話ではないからね。自分勝手にならず、持たざる者の状況を優先したときに、物事はうまくいくのだと思う。それはサッカーでも同じ。試合に出られない選手、アカデミーから来た選手、給料の低い選手。それは社会に置き換えることもできる」
そして、リヴァプールの個性豊かな選手たちをどのようにまとめるのか?と聞かれると、イラオラ監督は以下のように語ったそうだ。
「選手の性格を変えることはできない。私とは全く違うタイプの選手もいるが、彼らは素晴らしい選手たちだ。全員を変えようとは思わない。しかし、このスポーツでは集団で考える必要がある。
選手というのは常に利己的なものだ。試合に出たい、スタッツを稼ぎたい、全試合フル出場したい。しかし、それが常に叶うわけではないことを理解し、それでもチームメイトやチームのために役立たなければならないのだ。私はいつも、我々は選手の補助者(アシスタント)だと言っている。主役はあくまで彼らなんだ。
走ること、ボールのために戦うこと、プレスをかけること、最後まで粘ること。選手たちがそれを体現しているのを見たとき、サポーターはチームを後押ししやすくなるものだ。私はチームにそれを奨励していく」
スペインは決して身体能力が高い選手が多いわけではないが、その分チームとしての連帯感を重視する傾向があり、それが団体競技での強さに繋がっている…とのこと。
筆者:石井彰(編集部)
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