人気サッカーゲーム「EA SPORTS FC」シリーズ(旧「FIFA」シリーズ)で知られる米ゲーム大手Electronic Arts(EA)は、総額550億ドル(約8兆円)に及ぶ買収手続きが8月4日に完了。NASDAQ上場を廃止して非上場企業となったことを公式サイトで明らかにした。
買収を主導したのは、サウジアラビアの政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」を中心とする投資グループで、米投資会社Silver Lakeやジャレッド・クシュナー氏率いるAffinity Partnersも参加。PIFが新会社の約93%を保有する形となり、EAは今後、サウジ資本の傘下で事業を展開していく。CEOのアンドリュー・ウィルソン氏は引き続き経営を担う。
今回の買収は約200億ドル(約3兆円)の借り入れを伴うレバレッジド・バイアウト(LBO)で、海外メディアでは「史上最大規模のLBO」と報じられている。
一方で、今後は債務返済を進める必要があることから、ゲーム業界アナリストの間では、収益性の高い「EA SPORTS FC」「Battlefield」「The Sims」などの主力IPへの経営資源集中や、コスト削減、収益化施策の強化が進む可能性も指摘されている。
サウジアラビアがEAの獲得に踏み切った背景には、石油依存からの経済多角化を掲げる「Vision 2030」がある。ゲームやeスポーツを国家戦略産業と位置付ける同国は、近年、世界のゲーム企業への投資を積極化しており、EA買収はその象徴的な案件となった。『Reuters』は、PIFがゲームとスポーツ分野で世界的な影響力を高める戦略の一環としてEA買収を位置付けていると報じている。
こうした動きは日本にも及んでいる。サウジ皇太子が設立したゲーム企業グループを通じて、SNKはPIF系企業が96%超の株式を取得し、実質的な完全子会社となった。また、PIFは任天堂の発行済み株式の5%超を保有した時期があり、大株主として注目を集めたほか、コナミグループやバンダイナムコホールディングスなど日本のゲーム関連企業にも継続的な投資を行っている。
「EA SPORTS FC」シリーズをはじめ世界的なスポーツゲームブランドを抱えるEAがサウジ資本の傘下に入ったことで、ゲーム業界の勢力図だけでなく、世界のスポーツビジネスや日本企業との関係にも今後大きな影響を及ぼす可能性がありそうだ。
なお、「EA SPORTS FC」シリーズの最新作『EA SPORTS FC 27』は、2026年9月25日(金)に世界同時発売される。
筆者:奥崎覚(編集部)
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