世界は広いな―。そう感じてしまうようなことが、この世界では往々にして起きる。

今回の舞台はサッカーの母国イングランド。今をときめくプレミアリーグの強豪、トッテナム・ホットスパーのエンブレムにまつわる諍い(いさかい)をご紹介することにしよう。

ハンプシャー州の地方クラブ、フリート・スパーズは1948年設立のノンリーグのクラブである。クラブの名前ですでに怪しいが、あのトッテナム・ホットスパーとは全く資本や提携関係にない、完全に独立したサッカーチームである。

そんなフリート・スパーズがこのほどクラブエンブレムを変更したそうなのだが、そのデザインをめぐって何やら揉めているらしい。

何が一体問題なのか?百聞は一見に如かずである。

フリートスパーズ

一番右がフリート・スパーズの新たなエンブレム。そしてもちろん、一番左がトッテナム・ホットスパーのエンブレム。風見鶏のデザインからして、これはどう見てもアウトである。

トッテナム・ホットスパーは弁護士を雇い、フリート・スパーズに風見鶏のロゴの使用を禁止するよう忠告。

「非情な手段だ」とこれに反芻したのはフリート・スパーズだった。エンブレムを再変更するには3,000ポンドから4,000ポンド(およそ49万円から65万円)かかるようで、フリート・スパーズの会長は拒否する構えを見せていた。

が、しかし。両者はノンリーグクラブとプレミアリーグクラブである。フリート・スパーズにはトッテナム・ホットスパーからの圧力に抗う権力や資金力もなく、なくなくエンブレムの再変更を受け入れる流れになったという。

トッテナム・ホットスパーのスポークスマンによると、「フリート・スパーズがあの風見鶏のロゴをエンブレムに使用することにもし行動を起こさなければ、我々のロゴを模造品などで広告利用する人々を黙認することになる」とコメントしており、クラブの商標利用に関する一貫性を主張した。

ちなみにこちらのフリート・スパーズ、ノンリーグだがユースチームもあるなど、れっきとした「サッカークラブ」のようだ。

確かに、今回のフリート・スパーズのやり方は少々やりすぎだったかもしれない。

しかしこの騒動により、英国だけではなく多くのサッカーファンがこの小さなクラブの存在を認知したことは疑いようのない事実である。チームにはガーナ人とジャマイカ人選手もいるらしい。

このチームをちょっとだけ応援したくなったのは、ここだけの話である。

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