「ドイツフットボールの時代がやってきた!」

12-13シーズンCL準決勝、バイエルン・ミュンヘンとボルシア・ドルトムントのドイツ勢がバルセロナとレアル・マドリーのスペイン勢をそれぞれ破り、ヨーロッパフットボールの頂点を争うCLの決勝でドイツのクラブ同士の対戦が実現した。  

冒頭のセリフは、その時世界中のフットボールファンがあげていた一般的な感想である。 

一時代を築き上げたバルセロナとそれに対抗するレアル・マドリーの磨き合い、さらにナショナルチームがEUROを連覇しW杯を勝ち取った事で「ヨーロッパフットボールの中心」という名声を得たスペイン。そんなスペイン自慢の2強に、ドイツ勢が完勝を収めてドイツクラブ同士の決勝を実現させた事で、その名声はスペインからドイツに移ったという事は多くのフットボールファンが確かに感じていた事だ。

 しかしそのわずか一年後、12-13シーズンCL決勝トーナメント。レアル・マドリーを筆頭にスペイン勢の逆襲が始まる。

 マドリーはまず一回戦でシャルケを圧倒し退ける。準々決勝では一年前に苦杯を嘗めさせられたドルトムントを相手にホームで完封、3点を奪い先勝。アウェイではドルトムントに意地を見せられたもののトータルスコア3-2で準決勝進出を決め、雪辱を果たした。

苦手ドイツ勢を克服していく中、準決勝でのマドリーの相手はまたもドイツ勢に決まる。それも昨季三冠をとり、今季ブンデスリーガを史上最速で優勝し、昨季から続くリーグ戦無敗記録を53試合にまで伸ばしたドイツ最大のクラブ、バイエルン・ミュンヘンである。優勝を決めている気の緩みがどこかにあったのかブンデスリーガではアウグスブルク戦に続きドルトムントにもホームで0-3で敗れ連敗を喫したところだったが、それでも昨季三冠をとりその勢いを維持している最強クラブのイメージは強く、準決勝が行われる日まで多くのマドリディスタが恐れを抱いていた事だろう。 

またバイエルンが今季も難なく準決勝まで進出してきた事は、冒頭の様な「ドイツ時代」が続いているという印象を確かに周囲に与えており、マドリーが1st legにおいてホームで1-0の先勝を収めた後もバイエルンの勝ち抜けを確信している業界関係者は少なくなかった。 

そんな中バイエルンのホームスタジアムアリアンツ・アレーナで行われた準決勝2nd leg、4月29日。 世界に衝撃が走った。

 20分までにマドリーDFセルヒオ・ラモスがヘディングから2つのゴールを決めると、34分にはカウンターからカリム・ベンゼマのパスを受けたギャレス・ベイルがジェローム・ボアテンクのマークをものともせず爆走。フリーでラストパスに走り込んだクリスティアーノ・ロナウドが右足でGKマヌエル・ノイアーを破り、前半だけで3-0に。 

マドリーの堅守を前にバイエルンは終始ゴールを奪う事が出来ず、試合終了間際にロナウドがFKから再び得点。試合は4-0でマドリーが勝利、トータルスコア何と5-0の大勝で、前評判もどこ吹く風、マドリーが決勝進出を決めた。 

一方準々決勝でスペイン勢の潰し合いが行われ、勝利したアトレティコ・マドリーが準決勝でもチェルシー相手にアウェイでの2nd legで快勝。結局決勝は、「フットボールの中心国」という地位をドイツ勢にとって代わられたと一部で囁かれたスペイン勢同士の対戦が決まった。