国民性でいうと、同じ南米でもウルグアイやアルゼンチンが一発勝負に強かったりするのは、やっぱり規律がある。根性論になるかもしれないですけど、どこかで我慢するとか。

ウルグアイやアルゼンチンは四季があるんですね。寒い時は寒いですし、暑い時は暑いです。だから我慢ができる。ペルーへ行ったら、一年中穏やかな…ふわーんとしているから、結構、勝てる試合を勝てなかったりするというのを言う人はいます。完全に偏見ですけどね。温暖な場所で一年中あったかい気候です。

ペルーの人は、陽気で、やっぱり日本人に似た技術とか技とかは好きですね。80年代とかその頃のペルーというのは、南米の中でもブラジル人もアルゼンチン人も認める「技術の高い国」でしたから、当時のリーグですごく高い技術を目の当たりにされたのではないでしょうか。

1982年ワールドカップとかを見てもらったら分かるんですけど、(テオフィロ・)クビジャスさんとか(エクトル・)チュンピタスとか、めちゃくちゃ上手いです。もう本当に勝負ではなく上手さだけ言えばブラジル人より上手いんじゃないかっていう。フリーキックをアウトでスカーンと入れちゃったりとか、魔法みたいなプレーをしていました。

これは国民性でいうと多分、アルゼンチンやブラジルはまだ世界からの放映権が入るんですよ。だけどペルーはまず入らないです。コロンビアとかも。だからサッカーが「魅せ合うサッカー」なんですよ。グラウンドに何人足を運ばせるかで収益が変わるんです。

だからやっぱりサッカーが縦に速いというよりは、ゴールを決めるよりキーパーも抜いて入れて拍手をもらうとかそういうところになりがちなんです。

みんな上手いんですよ。アルゼンチン人がよく言うのは「あー、ペルー人はうまいうまい」。だけどみんな入れてキーパーを抜こうとして、最後になんか寄せられてやられたりとか(笑)、そういう話をされるのがペルーの選手。でも上手いんです。

ただ、(クラウディオ・)ピサーロとか(パオロ・)ゲレーロみたいに若くして結構ヨーロッパに行かせて、育て方を変えたというのもありますね。最後まで、熟成のところまではペルーでやらないで、ある程度そういうことをやり出して、やっぱり力を付けているというのはあります。

それから監督も代わり、今はフアン・レイノソですけど、(元アルゼンチン代表の)リカルド・ガレカとかですね、アルゼンチン人とかやっていた時はやっぱりブラジルやアルゼンチンとも結構良い試合もしましたし。

それはコロンビアもそうですね。本当に1980年代のバルデラマさんとかがいて、すごく良いサッカーしていたのに、やっぱりフィジカル中心、戦術中心のサッカーになりました。それが止められるようになって10年も苦しい時期が続いて、ペケルマンを連れてくるしかなかった。だから今はまたワールドカップ常連の国になったわけです。

コロンビアもそうですけど、若くして選手を外に出していって、言ったらリズムの遅いサッカーのまま大人にならないという方法をやり出して、ちょっと怖い国にはなっていますね。

※ペルー代表歴代最多の38ゴールを記録しているパオロ・ゲレーロ。39歳になったが今回の代表にも招集されている。