前編の通り、PFA選出のプレミアリーグベストイレブンにはルーニー、ドログバ、セスクなど、プレミアリーグの顔とも言うべき選手が並んだが、その一方で、初選出組も目立った。今季の活躍ぶりを振り返りながら、その中から特筆すべきプレイヤーをピックアップしてみたい。
面目躍如のシーズンだった。2004-2005から4シーズン連続でクラブ最優秀選手に選ばれ、キャプテンを務めていたマンチェスター・シティを追い出されたのが昨年の夏。昨シーズンフォームを崩していたとはいえ、ジョリオン・レスコットとコロ・トゥレを手に入れるや否や自分を放出したマンCの仕打ちは屈辱だったことだろう。
しかし、新天地アストン・ヴィラで復活。抜群の読みで相手を止め、ボールを持っては冷静なパスさばきで攻撃にも貢献した。
余談だが、マンC時代には、キャンプで暴れたジョーイ・バートンを止めようとして骨を折られてしまったことがある。
ロコモティフ・モスクワで活躍して注目されるようになり、2007-2008シーズンの途中にチェルシーに加入。ロシアリーグの移籍金記録を更新する、9700万ポンドという大金で獲得されたが、このシーズンは全く試合に出場できなかった。翌シーズン終盤、フース・ヒディンクによって右サイドバックで起用され、持ち前の高さとスピードを武器にポジションを掴む。
今シーズンはジョゼ・ボシングワの怪我に乗じて右サイドバックの定位置を完全に奪い、攻守にソリッドなプレーを披露。冬にはレアル・マドリーへの移籍が噂された。ランスでプレーするデヤン・ミロヴァノヴィッチは親戚。
華がないのは否めない。ギグスやスコールズ、ベッカムが持っていた“一撃必殺”と呼べるキャッチーな武器もない。それでも、過渡期のユナイテッドを支え、クラブが最終節まで優勝の望みを繋げたのはスコットランド代表キャプテンの支えによるところが大きい。今シーズンはDFラインに怪我人が相次いだため、2009年12月の4試合で右サイドバックとセンターバックもこなした。
ただ、ケチをつけるとすれば、4ゴールしか決められなかった点。他の選手も、ルーニーとベルバトフを除けば5ゴールが2人いるだけで、非常に物足りない。