圧倒的な存在感でマンチェスター・ユナイテッドの黄金期を担い、良くも悪くも観衆を沸かしたクリスティアーノ・ロナウド。サポーター達に与えた記憶は非常に強いものであり、彼がスペインへ去りし今もその幻影を追うサポーターは存在する。だが、その数は確実に減少傾向にあるだろう。それはナニの台頭がしたからである。スポルティングからマンチェスター・ユナイテッドに加入してしばらくは苦しい日々を過ごしたが、プレミアリーグのスタイル、環境になれてからは先輩には勝るとも劣らないドリブルテクニックで敵陣を切り裂き、数々のスーパーゴールも記録。チームの重鎮であるライアン・ギッグスを「ナニがいる限り、おれはいつでも引退できる」と言わしめ、現地では「ロナウドを惜しむのはやめよう。おれたちにはナニがいる」という声も起こっているらしい。
「『おれには野望がある』といつも皆に言っているし、それを諦めることは簡単じゃないよ。ユナイテッドでプレーしている以上、そういう使命を背負わないといけないんだ」
「たしかに、今季は僕にとってのベストシーズンだろうね。だけど、ロナウドや他の誰とも比較されたくはない。僕は自分自身とクラブのこと、そして、自分がやらなければならないことしか考えないんだ」
「今でも覚えてるんだけど、マルセイユとの試合前、ロナウドは僕に話しかけてくれて、僕のプレーを褒めてくれたんだ。それから僕らは素晴らしい関係を築いている。親友といえるんじゃないかな」
ロナウドと先輩後輩以上の関係を築いているナニは、同郷の英雄との比較を事ある毎に嫌うが、その意に反し、きっとこれからも比較され続けるのだろう。それがユナイテッドのプレーヤーとして、スタープレーヤーとしての宿命である。
(筆:Qoly編集部 T)