プロ野球選手を父に持ちながら、フットボールの舞台で活躍してる選手といえば高木俊幸(清水エスパルス)・善朗(ユトレヒト)兄弟がよく知られていると思うが、アメリカにも似た境遇の選手がいる。
アメリカ代表経験もあるコロラド・ラピッズのDFマーヴェル・ウィンはMLBパイレーツなどで8シーズンプレーした元メジャーリーガー、マーヴェル・ウィン(同姓同名)を父に持つ。
俊足巧打の外野手、1番打者として活躍した父マーヴェルはメジャーを退団したあと阪神タイガースでもプレーした。MLSでも屈指のスピードを持つウィンJr.は幼い頃、野球場で父と過ごすのが好きだったという。
「父が打点を上げるたび、Wow!なんて思ってる子供だったよ。他の選手の子供達と一緒に遊び回ってたね。ロッカールームやダグアウトが好きでずっとそこにいた。選手たちはいつも沢山のガムやヒマワリの種を口にしていて、たまにくれたりもした。試合を観に行くのが好きだったんだ」
ところが、1991年5歳のときに父親が現役から引退すると、野球に対して感じていた神秘的な魅力が消えてしまい、そのことに少し驚いたという。
「(野球は)スロー過ぎた。自分はほんとに活発だったから、サッカーの虜になったよ」
また、つい先頃までMLBでは白熱のワールドシリーズが行われていたが、ウィンはそれらも見ることはなかったという。
「野球好きの友達は大勢いるよ。彼らが夢中になって応援してれば、自分も彼らのために応援するけど、特に贔屓のチームがあるわけじゃないし、(ワールドシリーズを)情熱をもって見ることはないんだ」
こう語ったウィンだが、守備範囲の広いセンターを守り盗塁を得意としていた父親譲りのところがあることも認めている。
「もし野球をやるなら父と同じようなタイプになるだろうね。別のフィールドながら、(スピードを武器しているという意味では)父の後を継いでいるといえるよ」
ウィンが退屈に感じた“遅さ"はある意味でサッカーにはない野球の魅力のひとつとも言えるだろう。いうまでもなく野球とサッカーそれぞれに違った魅力があり、ウィンには後者のほうが肌に合ったということだろう。
Marvell Wynne Sr.
Marvell Wynne Jr.
(筆:Qoly編集部 I)