このほど、メキシコのチバス・グアダラハラはあのヨハン・クライフを招聘するとクラブのオフィシャルサイトで発表した。


クライフといえば最近までアヤックスの役員理事を務めていたが、理事会内でエドガー・ダービッツ、ルイス・ファン・ハールらと対立し、つい先日ほかの理事4人ともに職を辞していた。 その後、テクニカルアドバイザーとしてクラブに残るのではないかという見方もあったが、一転メキシコ行きという急展開となった。

ただ、チバスでの役職については詳しく明らかになっておらず、一部報道ではユースチームのアドバイザーなどの話も出ているようだが、詳細は明日のエスタディオ・オムニライフで行われる記者会見を待つことになりそうだ。

アヤックスでの内紛に辟易としたにせよ、いささか突拍子がないように思える今回の話にはチバス側に色々と事情と思惑がありそうだ。チバスは国内リーグ11度の優勝を誇る強豪クラブだが、 今年1月に開幕したクラウスーラ(後期リーグ)では7試合で2分け5敗の最下位、コパ・リベルタドーレスでも2試合を終えて1分け1敗とここ13試合勝ちがなく絶不調にあえいでいる。

リーグ首位だったアペルトゥーラ(後期リーグ)とメンバー的に大差はないものの、2年前にマンチェスターへと旅立ったエース、チチャリートことハビエル・エルナンデスの穴にいまだに苦しんでいる。 さらに、今季はメキシコU-20代表のエース、FWエリック・トーレスが不発で、U-17代表の主力であるFWカルロス・フィエロ(背番号は104)を起用するなど前線の人材に頭を悩ませている。

そんななか、フットボール界の重鎮クライフを呼び寄せるため尽力したとみられているのが、オーナーのホルヘ・ベルガラ氏だ。 メキシコ人実業家であるベルガラ氏はMLSのチヴァスUSA、コスタリカの強豪サプリサも所有する実力者でメキシコサッカー界において強い権力と影響力を保持しているとされている。クライフ招聘はそんなベルガラ氏だからこそできた芸当といえるかもしれない。


チバスとクライフとの契約は細部に詰めを残しているとされるが、ベルガラ氏は現地メディアの取材に対し

「(契約は)完了した。彼(クライフ)は多くのことをするだろう。メキシコ人じゃダメだったのかって? 私は外国かぶれではないが、あらゆる事柄を精査した結果、彼が適任だった」

「ただ、彼を説き伏せるのは簡単ではなかった。まさにチャレンジだったといえる。その後、説得することができたが、とても困難な道のりだった」

「今度の件は私たちメキシコ人にとって素晴らしい機会だということを分かってもらわなければならない。 カトリックでいえば法王を迎えるようなことだし、はたまたノーベル賞を受賞するようなものでもあるだろう」

「チバスをよくしようとこれまでに多くのことを試みてきたが、いまや危機的状況にあるというのが事実。我々が間違った判断を下していたことは明らかだ。 悪いものは根こそぎ取っ払って、チームのよくするためなら何でも利用しなくてはならない」

と話した。なお、チバスはメキシコ人のみでチームを構成しているが、監督や役員であれば外国人でも問題ないという。

(筆:Qoly編集部 H&I)

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