・守備よりも攻撃重視の現代
現代のフットボールシーンでは「サイドバックの攻撃参加」が重要視されているのは間違いない。
非常にコンパクトな守備ブロックを敷くチームが増えた現代では、中央突破に活路を見出すことが困難となってきている。それ故、攻撃に厚みをもたらすためには、フリーでボールを貰うことのできるサイドバックの攻撃参加が有効な手段なのだ。
特にビッグクラブ同士の試合ではサイドバックが敵陣深くで高い位置を取ることが顕著となってきており、攻撃力に秀でていなければビッグクラブのサイドバックは務まらないと言っても過言ではない。
更に、サッカー解説者の山本昌邦氏が指摘されているように、現代のサイドバックはペナルティエリア内まで侵入し、フィニッシュを担うことが多くなってきている。長友やダニエウ・アウヴェス、ジョルディ・アルバといった攻撃参加が大好きなサイドバックがゴールを決めるシーンが増加傾向にあるが、この傾向はより一層強くなることが予想される。
かつてのサイドバックの「第一人者」の中には、リリアン・テュラム(元フランス代表)、パオロ・マルディーニ(元イタリア代表)といったセンターバックとしてもハイレベルな選手が存在していた。現代においてもブラニスラフ・イヴァノヴィッチ(チェルシー)、エリック・アビダル(バルセロナ)、セルヒオ・ラモス(レアル・マドリー)、クリスティアン・キブ(インテル)、フィル・ジョーンズ、クリス・スモーリング(マンチェスター・ユナイテッド)といった選手たちがセンターバックとサイドバックを兼任している。だが、"守備力には目をつぶってでも攻撃力を優先する"というトレンドが強まっているだけに、彼らのような「兼任型」は徐々に姿を消していくだろう。