アンヘル・ディ・マリアのマンチェスター・ユナイテッド移籍が秒読み段階に入っている。

すでにユナイテッドのトレーニング施設があるキャリントンを訪れたとも言われているディ・マリア。昨日行われたリーガ・エスパニョーラ第1節コルドバ戦もレアル・マドリーの招集メンバーから外れ、その報道は単なる噂話の域を超えつつある。少なくとも、ユナイテッド側からの何らかのコンタクトはあると考えるのが妥当だ。

ディ・マリアといえば、昨シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝でマン・オブ・ザ・マッチを受賞したことが記憶に新しい。小刻みなステップでのドリブルはもちろんシュートも強烈で、そして何よりファイターである。その無尽蔵のスタミナは先のブラジルW杯でも証明して見せ、まさに現代型のウインガーと呼ぶに相応しい。ユナイテッドの指揮官ルイス・ファン・ハールにとっても、喉から手が出るほど手にしたい人材であろう。

そんなディ・マリアには娘がいる。つい先日1歳4ヶ月の誕生日を迎えたミアちゃんである。

ぱっちりした目がチャームポイントで、その愛くるしさは写真からでも伝わってくる。ミアちゃんの存在がタフで過酷なプロサッカー選手生活の支えとなったことは容易に想像がついた。

しかし、このミアちゃんの誕生には多くの困難がともなった。

ディ・マリアのパートナーであるホルヘリーナ・カルドーソさんはミアちゃんを身籠っている際に妊娠合併症を引き起こしたのだ。医者からは早産を提案された。予定日まで出産を待っていると、胎児の生存率は30%まで下がってしまうと判断したからだ。

結局、ホルヘリーナさんは予定日より3ヶ月も早く出産。2013年4月22日、ミアちゃんがこの世に誕生する。

しかし、そこからの数ヶ月がディ・マリアファミリーにとっては大変だった。未熟児であったため、生後2ヶ月もの間、ミアちゃんには集中的な治療が施された。オフシーズンを迎えたディ・マリアもきっと愛する娘との時間を大切にしたはずだ。

そして幸運なことに、ディマリア夫妻の愛の結晶は順調に育っていった。2ヶ月間の治療を終えたミアちゃんは無事退院し、両親からの愛に育まれながらすくすくと成長していった。1歳を迎えブラジルW杯も現地で観戦していたようだ。

ミアちゃんが生まれて迎えた新シーズン、レアル・マドリーにはギャレス・ベイルというディ・マリアにとってはライバルとも言うべきスター選手が加入していた。右ウイングでの起用が多かったディ・マリアはこれによりポジション変更を余儀なくされ、セントラルミッドフィルダーとしてプレーする機会もあった。結果的に言えば、この経験がディ・マリアの評価を上げることになるのだが、ベイルの加入は彼にとって難しい状況であったに違いない。

しかし、そんな困難に向き合うディ・マリアに力を与えたのは、やはりミアちゃんの存在だったそうだ。

「娘は私に、『本当に難しく見えることでも、終わってみれば簡単に思えたこともある』のだと教えてくれた。努力をすれば、あとは報いを待つだけさ。彼女は私にとても多くのエネルギーを与えてくれた。そのおかげで、目覚ましい1年を送ることができたよ」

クリスティアーノ・ロナウドやギャレス・ベイルといった大スター選手の陰に隠れながらも、決勝戦のマン・オブ・ザ・マッチという形でクラブ通算10度目の欧州制覇に貢献したディ・マリア。彼には今、ユナイテッドの栄光の背番号である「7番」が与えられるのではないかという噂がある。

その背番号の重みは、アントニオ・バレンシアがわずか1年で返上したことからも窺える。しかし、そういったチャレンジングな選択に迫られる度、ミアちゃんの存在が彼の背中を押すのであろう。

5970万ポンドという英国史上最高額での移籍の実現まで、もうまもなくだ。

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