ブラジルW杯で「死のグループ」を突破したものの、ハメス・ロドリゲスを筆頭とした若さと躍動感溢れるコロンビアにスコア以上の差で屈しベスト16で敗退したウルグアイ。

世代交代が急務であることを露呈した彼らにとって、今回のアジアツアーは連覇がかかる来年のコパ・アメリカに向けた仕切り直しの遠征となる。しかし、高齢のタバレス監督は持病により母国に留まり、長年チームを牽引してきた主将ルガーノやフォルランらベテランと、「噛み付き騒動」による出場停止の問題を抱えるスアレスが外れ、日本時間5日に行われる日本代表との試合に臨む来日メンバー19人には4人の新代表が選ばれた

そんな新生ウルグアイ代表で注目を集めているのが、“天才"と目される20歳の攻撃的MFジョルジアン・デ・アラスカエタだ。

おそらくはスペイン・バスク地方に由来する珍しい名前を持つデ・アラスカエタ。1994年生まれで2011年のU-17ワールドカップで準優勝を成し遂げた“黄金世代"と同期だが、同チームには呼ばれず、彼が頭角を現したのはその1年後だった。

2012年に行われたU-20リベルタドーレスで所属するデフェンソールを準優勝に導いて脚光を浴び、その年トップデビューを果たすと、翌年開催されたU-20ワールドカップで“黄金世代"のメンバーに加わり、主力としてこちらも準優勝に貢献したのである。

当初はサイドなどで起用されていたクラブでも次第にトップ下でのポジションを確保し、今年のリベルタドーレスでは国際的にはペニャロ-ル、ナシオナルに比べ見劣りするチームをリベルタドーレスのベスト4に導く働きを見せる。その活躍の報は海を越えバルセロナら欧州の名立たるビッグクラブなどからも注目を集めたことで間近に迫ったブラジルW杯への招集待望論が沸き上がることとなる。

初代ワールドカップ覇者の古豪ウルグアイはこれまで数多くの優れたDFとFW、中盤の潰し屋を輩出してきたが、小国ゆえ創造性に富んだ“出し手"には乏しい面があった。

そのため、アルバロ・レコバが代表から離れて以降はFWのフォルランが“10番"として重用されてきたが、フォルランが加齢による衰えを見せ始めるなかで後継として期待されたロデイロ、ガストン・ラミレスは伸び悩み、デ・アラスカエタを推す声が強まっていたのだ。しかし、若手の抜擢に非常に慎重なタバレス監督は結局これまで重用してきたメンバーを予想通り選出し、デ・アラスカエタが招集されることはなかった。

そのため活躍の度会いからすると遅まきながら今回のアジアツアーがA代表初招集となったデ・アラスカエタ。小柄でスピードのあるMF/FWだが、思い通りピタリと止める非常に正確なボールコントロール能力とDFの合間をすりぬける繊細なドリブル技術、近代サッカーに必要不可欠の運動量、味方をお膳立てする確かなビジョンを備えた待望の“ファンタジスタ"である。

その期待の大きさは今回、アギーレ新体制で初代表ながら10番に抜擢された森岡亮太(ヴィッセル神戸)と同様、レコバ、フォルランと受け継がれてきた10番を、初代表にしていきなり付けることとなったことからも見て取れるだろう。

東方の国ウルグアイの“新たな太陽"は極東の“日出ずる国"日本で輝くだろうか。是非、このちょっぴり変わった名前のファンタジスタに注目してみてほしい。

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