開幕から3試合、勿論観戦数にはチームごとに差はありますが、全チームを1度は観戦することが出来ました。ということで、今回は試合を観戦したことを踏まえて、プレミアリーグの分析と展望をしていきたいと思います。チーム1つ1つについて、出来る限り詳細な分析を心掛けてみました。今回はPart5になります。(※Part4は こちら

今回は “Positive Aspect”で良かった面、“Negative Aspect”で不安視される面を分析、今後のプレミアリーグへの展望に繋げています。また、各チームから新加入でデビューを果たした“New Player”、既存の中心選手として期待される“Key Player”、そして+に転べば大きい"Potential Player"を選び、それぞれコメントしていきたいと思います。

更に、移籍期間最終日の移籍についても評価。 “Deadline Deal”というのが、最終日の注目加入選手となっております。

開幕前にQolyでは プレミアリーグ座談会も行わせていただきましたが、その座談会の中での評価と変わってきているチームもあるため、是非一緒にお楽しみください!

アーセナル(昨季4位)【開幕戦、第2節、第3節観戦】

【ジルーの重要さを感じる展開に。ウェルベックに大きな期待】

・Positive Aspect

プレシーズンで悪くない調整をこなしていただけあって、チーム全体のコンディションは悪くない。特に、昨シーズン大きく開花したアーロン・ラムジーは絶好調で、エネルギッシュな動きで上下動をこなしている。W杯の疲労が抜け切れていないドイツ組がコンディションを取り戻し、上手くチーム全体でプレシーズンのように組織的な攻撃が出来れば、ここからのスタートダッシュも見えてくるはず。大型補強のアレクシス・サンチェスも要所で流石のプレーを見せている。後は怪我人の穴を埋めるDMFの補強があるかどうかだったが、ここは結局手つかず。また、ジルー不在時のFWとして、ジョエル・キャンベルやヤヤ・サノゴといった若手にも大きな期待がかかる。とはいえ、信頼度が高くなるのは最終日に獲得したウェルベック、残留を望んでいるポドルスキだろう。また、攻撃を組織化していく中ではトマーシュ・ロシツキーが必要になってきそう。

・Negative

1戦目ではサノゴ、第2節はサンチェスをFWに起用して実験的な意味も持たせたが、結果的にジルーがプレーしている時以外には、狙った形に持ち込めていなかったという事実は無視出来ない。前線をジルーが支える形でないと、中盤が厳しいプレッシャーを浴びた際にアバウトなボールを放り込めない。そうなると中途半端なロストが増え、一気にカウンターを浴びることになる。第3節も離脱したジルーに代えてサノゴを起用したものの、明らかにトップレベルでは通用していない印象を受けた。ウィルシャーも責任感故か、難しいボールを通そうとする場面が目立ち、安易なボールロストが少なくない。守備でのレギュラークラスと控えクラスに大きな差があることも大きな問題だろう。初戦と第2節の実験的な形が失敗したことで、パターンBが見つからないままでジルーやコシェルニ、主力クラスの離脱などが長引くと厳しくなるか。

・New Player

アレクシス・サンチェス

初戦はプレス回避に多彩な技術を見せつけ、サイドで上手く中盤を助ける役割をこなした。守備にも献身的で、周りを使うセンスも抜群。流石に結果はついてくるだけのプレーを見せている。とはいえ、第2節はチーム事情もあって不満足なパフォーマンスに終わってしまった。前線に置くとしても、サポートが出来る選手を近くに置いておきたいところだ。彼のポテンシャルをどこまで発揮できるかで、今季のアーセナルの位置が決まりそうだ。ドリブラーというよりも、フィニッシャーやチャンスメーカーとして使っていくことで輝ける選手であることも忘れてはならない。

・Key Player

ローラン・コシェルニ

やはりアーセナルはこの男がいないと、という守備の要。チェインバースもメルテザッカーも比較的待って対応するタイプであることから、果敢に潰しに出ていく彼の必要性は大きい。また、ボールを持ち運べるテクニックがあることからDFラインをしっかりと押し上げてコンパクトな状態を保つことも可能。裏にボールが出ても問題としない俊足も備えるように、アーセナルのスタイルに完璧にフィットしている。

・Potential Player

カラム・チェインバース

若さに似合わぬ落ち着きと、そつのないプレーで既にアーセナルでは主力として定着した感のあるDF。第2節ではスピードに乗った相手に対応する時のボディアングルの悪さや、サイドバックとの関係性を保てないところをエヴァートンに狙われたが、そういったところを随時直していけばアーセナルの顔になれるポテンシャルを秘めている。

ジャック・ウィルシャー

気の強さが悪い方向に働いている感があるものの、昨シーズンと比べると利他的なプレーが増え、デビュー当初のような軽やかなプレーも見せているMF。しかし、何故かそういったプレーをこなせるのはトップ下に近いポジションにいる際で、リスクマネージメントが求められるようなボランチの位置では強引なプレーが目立つのが勿体ないところだ。イングランド代表のためにも、アーセナルのためにも、本人のためにも、今季こそはその才能を開花させなければならないはず。既に彼よりも若い世代のMFも、すぐ後ろにまで迫っているのだから。

トマーシュ・ロシツキー

気が利いた動きをこなせるアタッカーが多いアーセナルの中でも、最も組織の中で輝ける天才MF。特にボランチをサポートするタイミングが完璧で、彼の存在はチームのパス回しを大きく助ける。今季は恐らく出来る限りのフル稼働が求められるため、コンディションを整えてほしいところ。

・Deadline Deal

ダニー・ウェルベック

イングランドの希望にもなり得る未来のストライカー候補は、ファン・ハールによって無慈悲にもマンチェスター・ユナイテッドから放出されてしまった。裏で勝負することが出来るだけでなく、バイエルン相手に1人でアバウトなボールを収め続けた規格外のフィジカルはアーセナルにとって重要。身体を張ってチームを助ける献身的なプレーがこなせれば、結果はついてくるはず。