「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載がスタートしたサッカー漫画「アオアシ」をご存じだろうか?
同作品は、漫画界ではこれまで注目を浴びてこなかったJリーグのユースチームに焦点をあてている。
愛媛県在住の漫画家小林有吾氏が、取材・原案協力でスポーツライター・漫画原作者の上野直彦氏 とタッグを組んで初の週刊連載に挑戦している。今回、Qoly編集部では上野氏及びスピリッツ編集部を直撃インタビュー、気になる「アオアシ」の創作秘から、漫画原作についてまで「ふかーい」話をお届けする。
第1話 ファーストタッチの扉絵、新年に相応しい勢いのある新連載となった
上野直彦氏はスポーツライター、エル・ゴラッソで大宮アルディージャの番記者を務めたほか女子サッカーの取材を長年続けている。一方で、上野氏には幾つかの「裏の顔」がある。その1つが漫画原作者としての顔だ。何故、漫画と関わりがある様になったのだろうか。
Qoly(以下、Q)- 連載おめでとうございます。まずは、少年サンデー誌に掲載された『なでしこのキセキ川澄奈穂美物語』をはじめ漫画原作を務めていますが、上野さんは何故原作を行う様になったのでしょうか?
上野- サラリーマンをしていたのですが、元々、映画のシナリオなどを作りたいと思っておりました。また、子供の頃から漫画が好きでした。そんなとき、当時通っていたシナリオ学校で漫画原作講座を受講したんです。講座の最終回で原作のプロット募集があり、応募したら受かったことがきっかけです。そういう意味では1作目でいきなりの受賞ですから苦労はしなかったのですが、その分漫画のキャラクターの作り方がわからず四苦八苦しました。
『クライングフリーマン』など多数の名作を世に送り出している小池一夫先生と偶然知り合い弟子入りし、平日は会社員をしながら土日になると当時の先生の御自宅まで行き、キャラクターの立て方や漫画原作の書き方を徹底的に教わりました。そんなことをしていた時期があります。漫画原作の流れが知りたくて、スピリッツですと『YAWARA!』の第一話を元に漫画から原作をおこした作業をしたこともあります。
Q- 作者の小林さんは「『YAWARA!』を掲載していたスピリッツで連載ができると喜びの報告をしていました。
上野- 私も同じ思いです。子供の頃から『ビッグコミックスピリッツ』は愛読誌でした。
Q- 連載はどの様にして決まったのでしょうか?
編集部(以下、編)- 連載は副編集長が「Jリーグのユースを取り上げた漫画がないですよね」と言ったところがスタートです。それで、「月刊!スピリッツ」にて活躍されていた小林先生に依頼したところサッカーが好きで(編集部注:ブログに愛媛FCの試合を観戦した様子を書くなど兼ねてからのサッカーファン)うまく話が進んでいきました。
上野- 元々、話をいただいたのは2013年でした。ブラジル・ワールドカップ最終予選に向けて取材をしていると「日本代表はこのままでいいのか?」と何となく行き詰まりや閉塞感を感じていました。それを変えるには「ユース年代の育成しかない」とちょうど考えていたので、原案協力の依頼を快諾いたしました。
Q- 既にスピリッツ内ではサッカー漫画『夕空のクライフイズム』が連載されていますが、同誌に2作のサッカー漫画が掲載されることは問題なかったのでしょうか?
編- サッカーではありませんが、過去に高校野球を題材にした『ラストイニング』と『高校球児ザワさん』が同時連載していた時期がありました。今回は、同じサッカー漫画でも片方は「高校サッカー」、こちらは「Jユース」と題材も違います。何より面白い漫画を読者に届けることが第一なので、担当としましてはそう考えたことはなかったです。