筆者が今シーズンの鹿島アントラーズに求めるモノは、タイトルだ。
もちろん、鹿島は常にタイトルの獲得が義務付けられているクラブだ。だが、大胆な世代交代を推し進めたここ2シーズンは、その獲得は難しいと感じていた。
結果的に2012年のナビスコ杯制覇以降、2シーズン連続でタイトルに手が届かなかったが、若手の成長のためには致し方ない部分ではあった。そして、その若手たちは筆者の想像を遥かに上回るスピードで成長し、明るい未来を予感させている。最終節まで優勝争いに絡んだ昨シーズンの戦いぶりがその証拠だ。
経験を積んで自信をつけた若手をベテランと中堅が支えるという理想的なチーム編成で迎える今シーズン。今回の鹿島リポートでは、ポジションごとの戦力分析を行い、4冠(リーグ戦、天皇杯、ナビスコ杯、ACL)の可能性がある今季の展望をしていきたい。なお、昨季同様4-2-3-1が採用される前提で話を進めたい。
・ゴールキーパー「曽ヶ端の牙城を崩せるか」
今シーズンも不動の守護神として君臨するのは、曽ヶ端準だろう。7年連続でリーグ戦全試合フル出場を果たしている大ベテランは今季も健在だ。
ただ、今オフに林彰洋(サガン鳥栖)の獲得に動いたように、今年で36歳を迎える曽ヶ端の後継者をフロントが探しているのも事実。林の獲得が叶わなかった今、佐藤昭大や川俣慎一郎、小泉勇人といった現有戦力の更なる成長に期待が掛かる。特に世代別代表に選ばれた経験を持つ佐藤は高い能力を持つだけに、曽ヶ端の牙城をいよいよ崩せるか注目だ。
・センターバック「実力者が顔を揃える」
センターバックは実力者が揃うポジションである。日本代表に選出された昌子源と植田直通に加え、サンフレッチェ広島から獲得したファン・ソッコ、ベテランの青木剛、復活を期す山村和也が揃う。
中でも注目なのが、韓国代表の経験もあるファン・ソッコ。最終ラインならどこでもこなせるマルチロールで、過密日程を戦うチームの力となることは間違いない。今季は植田がリオ五輪の予選のため離脱することが予想されるだけに、レギュラーを掴めなかった広島時代の鬱憤を晴らす活躍を期待したい。
・サイドバック「2人の若手が中堅に挑む」
右サイドバック、左サイドバックともに、若手が中堅に挑む構図となった。右サイドの伊東幸敏は昨季、西大伍にレギュラーの座を奪い取られただけに、期するモノがあるだろう。また、栃木SCでの武者修行を終えた鈴木隆雅は、昨季の絶対的レギュラー山本脩斗に挑む。左利きの鈴木隆は、堅実なプレーを特長とする山本とは異なり、攻撃性能の高さに定評がある。山本とは違った魅力で存在をアピールしていきたい。