2014年11月29日に等々力陸上競技場で行われたJ1第33節・川崎フロンターレ対サンフレッチェ広島の試合は、最後まで目の離せない手に汗握る一戦となった。今回は、この熱戦を現地で観戦してきた筆者によるマッチレポートをお届けしたい。

・3バックで臨んだ川崎フロンターレ

 ホーム最終戦を勝利で飾りたい川崎は3バックの布陣(下記参照)で試合に臨んだ。変則的な3バックの使い手である広島が相手ということもあり、前節の鹿島アントラーズ戦とはシステムを変更。今季は特別指定選手に登録され、来季から加入する車屋紳太郎が3バックの一角を担った。ちなみに、攻撃時はアンカーの稲本潤一が最終ラインに入り、守備時は両ウイングバックが下がって5バックになるなど、状況に応じて配置を変えていた。 


・いつも通り変則3バックで等々力に乗り込んだ広島 

対するアウェイの広島はいつもと同じ変則3バックを採用(下記参照)。攻撃時は森崎和幸が最終ラインに入り、両ウイングバックが高い位置を取る4-1-4-1となり、守備時は両ウイングバックが下がり、2シャドーも守備に参加する5-4-1へと布陣を変えるのはもはやお馴染みである。前線のトライアングルは皆川佑介(23歳)、野津田岳人(20歳)、浅野拓磨(20歳)というフレッシュな顔ぶれ。佐藤寿人、高萩洋次郎はベンチスタートとなった。 


・前半は圧倒的に川崎ペースで進む

試合は序盤からホームの川崎がペースをつかむ。開始2分、レナトがペナルティエリア内で惜しいシュートを放ったのは序の口。その後も連動したパスサッカーで広島守備陣を揺さぶりにかかる。ボールホルダーにはパスコースが常に2、3つ用意されているため、ポンポンとリズムよくボールがつながるのだ。対する広島は自陣に守備ブロックを形成し、耐える展開が続く。序盤こそ1トップに入った皆川が質の高いポストプレーで起点となったが、両サイドを活用できないため、攻撃に深みが生まれない。最終ラインからのビルドアップも川崎守備陣にコースを読まれ、2シャドーにボールがうまく収まらず、攻撃は停滞してしまった。

圧倒的にボールを支配しながらも1点が遠い川崎だったが、前半34分に試合が動く。レナトからのパスを受けた森谷賢太郎がゴール前で絶妙なクロスを送る。このクロスに合わせたのは川崎のエース・大久保嘉人。攻撃のキーマンである中村憲剛、小林悠を怪我で欠く中、頼りになるエースのゴールで川崎が先制に成功した。