7日行われた2015シーズンのJ1開幕戦、ベガルタ仙台はモンテディオ山形と対戦した。

ともに東北地方のクラブということで、「みちのくダービー」と呼ばれるこの一戦。Jリーグの舞台で実現するのは実に4シーズンぶりであり、2011シーズンは仙台が2勝している。

0-0で迎えた試合が動いたのは81分。右サイドからの崩しをリャン・ヨンギが落とし、中で待っていたウイルソンが冷静に流し込み仙台が先制に成功した。さらに仙台は試合終了間際の90分、DF菅井直樹が相手のミスを突き縦へとボールを運び、最後はまたもウイルソン。エースが2得点をあげ、仙台がダービー4連勝を成し遂げた。

さて、そんな仙台のこの日のスターティングメンバーにはフレッシュな名前があった。仙台ユースから昇格したばかりの18歳、 茂木駿佑だ。

ベガルタ仙台史上2人目となる、高卒ルーキーによる開幕戦デビューを果たした茂木は1996年10月2日生まれ。「茂木」と書いて「もてぎ」と読む。この試合では富田晋伍らと中盤を組み、68分までプレーした。

茂木はこのプレシーズンキャンプでいいパフォーマンスを見せており、開幕前から山形戦での先発起用が一部で予想されていた。そういった状況から茂木は3月3日に行われた母校である明成高校の卒業式を欠席してまでチームの開幕戦に備えていた。

そんな茂木の熱意を知った仙台サポーター。試合後、こんな「サプライズ」を用意していたようだ。

仙台の選手たちが勝利の報告にやってくると、サポーターたちは大きなボードのようなものを取り出し何かの準備を始める。

そう、実はこれ、仙台サポーターが用意した 茂木のための卒業式なのだ。

サポーターの代表者が「みんな知っての通り、モテは今日の山形戦に懸けてて卒業式欠席しました。なんでオレらで卒業式やってやりましょう」と仲間に伝え、サポーターの間では拍手が起こる。

そして、茂木に卒業証書に記された文面が読み上げられ、お手製の証書と丸い筒が手渡された。

もちろんこれは高校が発行する公式のものではない。しかし、その文面にはサポーターの想いがこもっており、「これから先も仲間としてともに戦っていきましょう」というメッセージも加えられていた。

憧れのピッチでJデビュー戦をプレーした茂木は、試合後、自身のTwitter上にこんなツイートを投稿している。

高卒ルーキーによる開幕戦デビューという偉業を果たしながらも、自身のプレーにはあまり納得できていないようだ。それでも、満員のユアテックスタジアム仙台でダービーで戦を戦ったこの経験は大きな糧となるはずだ。

そして、そのツイートに「一生忘れない」と記されていた通り、仙台サポーターによるサプライズは茂木にとって大切な思い出となった。記念すべきJリーグの開幕節に、選手とサポーターの美しい絆を見た。

(※追記)

2013年3月に仙台大学を卒業した仙台DF蜂須賀孝治にも、当時サポーターたちから卒業証書が与えられていたようだ。

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