カンボジア1部リーグにあるサッカークラブ(トライアジア・プノンペンFC)を買った日本人がいる。株式会社フォワード代表取締役の加藤明拓である。

八千代高校時代に高校総体で優勝し明治大を経て現在はブランドコンサルティングを務めている加藤氏、会社設立から僅か1年と少しでの買収劇は劇的なものだった。

今回は、加藤氏にカンボジアのサッカー事情と展望を語ってもらった。


株式会社フォワード代表取締役の加藤明拓氏


20年でバルサ越え、メッシ越え?

QOLY編集部(以下、略)-カンボジアのサッカーについて教えてください。

加藤明拓(以下、略)ーその前にカンボジアについて少し説明させてください。カンボジアは、ポルポト政権時代に独裁が行われていました。その際に虐殺が行われ一説には170万人(人口の1割とも)が殺されたと言われています。殺害されたのは知識層、いわゆる弁護士、医者、教師といった人たちです。子供が大人を監視する体制をとっていたんですね。そのせいか、カンボジアの平均年齢は今でも低く(約23歳)、30歳以上の人口が非常に少なくなっています。

そうしたこともあってか、カンボジアのサッカーは現在FIFAランク184位、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアといった近隣諸国から遅れをとっています。しかし、GDPの伸びは著しく成長が期待できる市場でもあります。

サッカーの1部リーグは現在11チームがプレーしており、優勝チームはAFCカップに、下位2チームは2部リーグとのプレーオフが行われます。毎年、春に開幕して秋ごろには終わるリーグです。詳しくはわからないのですが、リーグと並行してリーグカップ戦が開かれています。それはと別に、上位4チームはリーグ戦終了後にロイヤル・カップを戦います。

ー何故、カンボジアなのですか?

元々、我々が買収したプノンペンFCはトライアジアという日本人が代表を務める会社が所有していました。しかし、サッカークラブの運営は超赤字でチームの解散が昨年末に決まってしまいました。クラブの運営を行っていた吉田さんが自腹で運営を賄いつつ、買収先を探していたところ弊社が権利獲得を決めたという経緯があります。年間の予算は3500万円、これはカンボジアのサッカークラブでも多い方で昨年のリーグ戦成績は5位でした。

正直、年間予算を聞いたときは「オッ」と驚きましたが、私どもが掲げる2025年に「Jリーグクラブ買収」、2035年に「バルサ越え、メッシ越え(の日本人を生み出す)」という目標を達成するためには「3500万ぐらい集められなくてどうする」という気持ちから購入を決めています。最悪、街で土下座してお願いして一人1万円を3000人に出してもらえれば達成できる数字ですから。

カンボジアのサッカーはまだ何も整備されていません。私どもはブランドやスポーツチームのコンサルティングをしていますが、運営という部分については経験がない。Jリーグや他のアジアのチームに比べてハードですが、だからこそここで成功すれば他の国でもやっていけると思います。


前身であるトライアジア・プノンペンFCの昨年のリーグ戦より

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