2012年、巨額の負債を抱えてクラブが破産し、スコットランド4部に当たるリーグ2へ降格したレンジャーズ。その後、セルティックと並ぶ同国の名門が順調に1部復帰への道を歩んでいることは当サイトでも何度かお伝えしてきたが、現在、彼らは窮地に立たされている。

スコットランド2部、チャンピオンシップは先週末にリーグ戦の全日程が終了。リーグは10チームによる4回戦総当たりで行われ、1位がプレミアシップへの自動昇格を果たせるのだが、その切符を掴んだのはレンジャーズではなかった。

2014-15シーズンのチャンピオンシップ優勝は、ハーツことハート・オブ・ミドロシアン。2位との勝ち点差は実に21ポイントという圧倒的な強さを見せた。

レンジャーズにとってとにかく誤算だったのが、このハーツ、そしてハイバーニアンという首都エディンバラの強豪2チームの2部降格とタイミングが重なってしまったことだ。

クラブ破産以降、4部や3部でも平均4万人以上の観客を集めてきたレンジャーズ。しかし、収入は当然1部時代より大きく減っており、毎シーズン戦力をある程度所属ディビジョンに合わせてきた。そうした中で、やはり“無理"もしていたため今季は経営難が表面化している。

一方、昨季12位で31年ぶりに2部を戦うこととなったハーツは昨年5月、女性実業家のアン・バッジ氏が新たなオーナーに就任。最初の目標はもちろん「一年でのプレミア復帰」で昇格に向けた戦力を整えて今季に臨み、見事それを達成した格好だ。

15シーズンぶりに降格したハイバーニアンも意気込みは同様であり、バックグラウンドが違うとはいっても昇格組のレンジャーズは案の定苦戦。結局ハーツだけでなくハイバーニアンにも後れを取り、3位で昇格プレーオフへ回ることになった。

しかも、彼らが今回のプレーオフを勝ち抜くのは、決して簡単ではない。

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