そんなアル・スーマーがなぜシリア代表に入っていないのか? 現地で報道されているところによれば、彼の問題は国籍であるそうだ。
シリア代表に入ったことはあるのだが、彼は2012年の西アジア選手権以来サッカー協会からの招集を受託したことがない。よって、特に政治面のシリア情勢とは関係がないことは言わずもがなである。
常に彼が答えているのは愛国心、協会との関係、そしてクラブでのプレーを重視したいという「個人的な問題」という内容であるが、現地の報道によれば国籍の問題が大きいという。
彼はカタール、サウジアラビア、UAEからの帰化のオファーを受けており、彼はその中でもガールフレンドの故郷であるサウジアラビアの市民権を取りたいと考えているようだ。
代表に入れるかどうかに関しては、サウジ協会が調査を進めていると言われている。別に代表には入れなくても、リーグでは外国人枠に該当しなくなり、さらにライバルの国を弱体化させられるのだから、サウジアラビアとしては十分なメリットがあるわけだ。
理由はともかく、6月に行われたワールドカップ予選でも彼は招集を受けていたものの、公式に声明を発表して拒否しており、それは大きな話題になった。
今回も彼は招集を拒否しており、日本との試合にも出場することはない。
とはいえ、彼がいないというのはシリアにとって普通のことである。なにせ2012年から3年間チームにいない選手なのだから、不在が当然なのだ。
逆に言えば、『現在3連勝しているシリア代表は、元々アル・スーマーなしで勝っている』ということでもある。彼が招集を拒否したことは、別に日本にとっては朗報でも何でもないのだ。不確定要素が一つ減ったというだけの話である。
かつてオランダリーグで活躍したFWサンハリブ・マルキ、サイドの仕掛け人アル・ジャーファル、ベテランFWラジャ・ラフェ、そして高い技術を持つ天才MFマフムード・アル・マワスらで構成される攻撃陣は、このままでも十分な破壊力を持つ。
日本代表が戦う上で、彼らがグループの中で一番難しい相手であることには何も変わらない。彼らの攻撃力を止めれば光明は見えてくるはずだ。