オランダといえば両翼をめいっぱいサイドに張らせ、190cmを超す大型のFWが中央にでんと構える3トップをほとんどのクラブが採用している。

典型的なウイングでもなければ中央に1人で待ち構えるタイプでもないマルキと相性が良いとは言い難い。しかしローダが本拠地を置くケルクラーデはベルギーとドイツの国境に隣接している町で、その関係か比較的2トップを採用する傾向にあり、実際マルキは2トップの一角で起用された。

そうした環境にも恵まれた彼は突如として覚醒し、後にオランダ代表となるバス・ドストの大爆発で得点王こそ逃したものの、加入初年度にして33試合25ゴールという大車輪の活躍を見せたのである。

日本人が欧州で1シーズンに記録した最高得点は、2014-15シーズンに当時マインツの岡崎慎司がマークした15点だ。

エールディビジの格はブンデスリーガに比べると一段も二段も落ちる。とはいえ、上述した特殊なスタイルということで平山(当時ヘラクレス)が8点、現在復調傾向にあるADOのハーフナー・マイク(当時フィテッセ)でも11点が最高であることから、そのすごさが分かるだろう。

マルキは主将に任命された翌シーズンにも32試合17得点と結果を残し、「アジアNo.1ストライカー」と言われるまでになった。

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