10日に行われたEURO2016予選。

強豪ひしめくグループBで首位に立ち、悲願のEURO初出場まであと一歩と迫っていたウェールズはアウェイでボスニア・ヘルツェゴビナと対戦した。

2014年ワールドカップに出場したボスニアだが今予選では不振に陥っており、チームの基礎を作り上げたサフェト・スシッチ前監督が今予選中に解任。メフメト・バズタレヴィッチ監督が就任してからも劇的な改善は見られず、この試合が始まる直前にはグループBで4位に沈んでいた。

しかし、とはいえヨーロッパのトップリーグでプレーする選手を数多く揃えるボスニアである。

この試合ではウェールズの手堅い守備の前になかなか攻撃が噛み合わずにいたが、71分、フリーキックのこぼれ球に201cmの巨漢FWミラン・ジュリッチが合わせて先制すると、90分にもヴェダド・イビシェヴィッチが追加点をあげ2-0で勝利。勝ち点3が絶対に必要な試合で完封勝利を収めた。

さて、そんなボスニアに敗れたことにより、ウェールズは今予選で初めての黒星を喫した。ベルギーが勝利したことで順位も2位に落とし、予選突破に暗雲が立ち込めたかに思われたのだが…他会場から嬉しい知らせが届く。

エルサレムで行われていたイスラエル対キプロス戦でキプロスが勝利し、ウェールズの2位以上が確定したのだ。ボスニアに敗れたウェールズだったが、最終節を残してEURO本戦への出場の夢が叶ったのである。

ウェールズが主要国際大会に進出したのは、1958年のワールドカップのみ。つまりウェールズにとってEUROはこれが初の出場であり、国際トーナメントへの参加はこれが58年ぶりとなるのだ。

ボスニア戦の終了間際、ウェールズの選手たちは明らかにフラストレーションを溜めていた。タイムアップのホイッスルが鳴った直後もどこか暗い雰囲気であったのだが、他会場の結果を知ったファンたちが歓声をあげると…

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