欧州の育成年代が見せる「ゾーンディフェンスの基礎」
これは、バルセロナU-16対マンチェスター・シティU-16の試合で現れた一幕だ。
シティの守る左サイドを中心にバルセロナがボールを循環。攻撃を仕掛ける中で、シティのボランチを上手くアンカーの位置に呼び込む。パスワークで横関係のボランチを縦関係に分断し、前線の2人もカバーに入れていない状態。
しかし、バルセロナが狙った逆サイドへのパスはカットされることになる。シティU-16がしっかりとゾーンディフェンスを組んでいたからだ。中央のボランチが左サイドに寄ったことに連動し、RHが低い位置へ。ボランチのスペースをカバーすることでボールを奪い、このままカウンターを仕掛けることに成功する。
今回は、日本U-23代表がイラン戦で見せた守備の問題点を指摘しつつ、ゾーンディフェンスの重要性を考えていきたい。
この様なゾーンディフェンスの基本は、UEFAにおけるBライセンスの練習メニューなどで見ることが出来る。
これは8対8で行われる練習だが、ゾーンディフェンスの基本となるコンパクトな状態を保ちつつ、バランスを取るように動くことの重要性が強調されている。
逆サイドの中盤は内側に戻り、右サイドの選手はワンツーや縦パスを警戒して下がる。中央の選手はボールホルダーにプレッシャーを与えることで数的有利を作る。どこかで数的有利を作るということは、彼らが本来守るべきポジションが手薄になることを意味する。
だからこそ、周りの選手は常に全体像を把握しつつ、手薄なポジションのカバーに入る位置を取らなければならない。ゾーンディフェンスを機能させるには、チーム全体が同じ絵を共有する必要がある。