北アイルランド代表にジェイミー・ヴァーディもびっくりのシンデレラストーリーを歩んでいるストライカーがいる。コナー・ワシントンだ。
EURO2016グループリーグ、ウクライナ代表との試合に先発した彼は84分までプレーした。だが、この男4年前のEURO2012は家でテレビ観戦していたのだ。
ワシントンはいわゆる名門チームのアカデミーでプレーしてきた選手ではない。郵便配達の仕事をしながら、セント・アイヴス・タウンというユナイテッド・カウンティーズ・リーグ・プレミア・ディヴィジョン(実質9部)でプレーしていた。
そればかりかイングランド出身で地元のチームでプレーしてきた彼は、北アイルランドに足を踏み入れたことすらなかったのだ。
転機は、セント・アイヴス・タウンでおよそ1試合に1得点とゴールを量産したことから始まる。カンファレンス・ナショナル(実質5部)のニューポート・カウンティへ引き抜かれた彼は、ピーターバラ、そして今シーズン途中にQPRとあれよあれよとチャンピオンシップ(実質2部)までステップアップを果たしたのだ。
父はスコットランド、母はイングランド人だというワシントン家。ベルファスト出身だという祖母の血縁関係から北アイルランド代表を選択し、今年3月にデビューを飾った。その時、こう語っている。
コナー・ワシントン
(北アイルランド代表FW)
「EUROに出場する夢がかなうかもしれない」
その言葉通り、3か月後にはEURO2016メンバーに選ばれ、ウクライナ代表相手に先発出場を果たした。
今大会が始まる前、『Guardian』に対してこう語っている。
「ヴァーディは大きなインスピレーションを与えてくれます。
(私と似たようなキャリアを持つ)元QPRのチャーリー・オースティンやバーンリーのアンドレ・グレイのように今は下部リーグからステップアップの扉をたたく者は少なくありません。
今では、ノン・リーグはよりリスペクトされています。人々はジェイミー・ヴァーディーのような選手が生まれることを理解し始めています」
「4年前のことを考えると今起こっていることはクレイジー」とも話したワシントン。仮に過去の自分自身に今までの4年間を説明してもきっとわかってもらえないだろう。