『Gazeta Sporturilor』は「ルーマニア代表選手クリスティアン・マネアを巡る奇妙な取り引きの実態が明らかになった」と報じた。

これは今回『Football Leaks』によって明らかになった情報の一つであるが、ルーマニア界隈では以前から疑惑のあったものの一つである。

クリスティアン・マネアは1997年生まれの19歳。ゲオルゲ・ハジが設立したクラブ、ヴィトールル・コンスタンツァのユース出身で、2014年にはフル代表にもデビューしているサイドバックである。

ルーマニアでも屈指の若手選手と評価があった彼は、メディアでチェルシーへの移籍が噂され、2015年夏にはその通り「チェルシーへの移籍が決まった」と伝えられた。Qolyでもそれを伝えている。

ところが、彼は結局その後チェルシーには加入しておらず、キプロスのアポロン・リマソールから昨年ベルギーのムスクロンへと貸し出されている。

これはどういうことなのか?当時から謎が多かった彼の動きは、記事によれば実はこのような流れであったという。

時系列

1:アポロン・リマソール(キプロスのクラブ)をピニ・ザハーヴィ代理人が実質的にコントロールするようになる(2013年)

2:ピニ・ザハーヴィとアブディルガファール・ラマダニ氏(マケドニア人代理人)が提携する

3:ヴィトールル・コンスタンツァの会長ゲオルゲ・ハジが、マネアをアポロンへ250万ユーロ(およそ3億円)で秘密裏に売却(2014年6月)

4:ゲオルゲ・ハジが100万ユーロ(およそ1.2億円)をマルタの企業ディト・トレーディングへ送金(2014年6月)

5:マネアがヴィトールルからチェルシーに移籍するという嘘のニュースが主要メディアで報じられ、ヴィトールル&チェルシーがともに否定せず(2015年3月)

6:ピニ・ザハーヴィがムスクロン(ベルギーのクラブ)を買収する(2015年6月)

7:ムスクロンはチェルシーからマネアを借りたと発表する

8:アポロン・リマソールがムスクロンにマネアを貸し出す

重要な事実

・ディト・トレーディングとリアン・スポーツ(アブディルガファール・ラマダニの持つ会社)は同じ住所であり、マルタ(租税回避地)のオフショア企業である

・最初に動いた250万ユーロのうち、100万ユーロがディト・トレーディングへ、150万ユーロ(およそ1.8億円)がヴィトールル・コンスタンツァに入っている。そのプレーする予定のない選手に対しての250万ユーロはもともと誰が支払ったのか?何のために?

・ゲオルゲ・ハジが所有するヴィトールル・コンスタンツァは、440万ユーロの負債を抱えていた

・クリスティアン・マネアはアポロン・リマソールで出場したことはなく、キプロスに足を踏み入れたことすらない

・アブディルガファール・ラマダニは2014年時点で代理人資格を持っておらず、コンサルティング料を受け取る理由がない

・ピニ・ザハーヴィとチェルシーのオーナーであるロマン・アブラモヴィッチは昔からの友人である

疑われていること

・チェルシー、ヴィトールル・コンスタンツァ(ゲオルゲ・ハジ)、ピニ・ザハーヴィ代理人の3者による、『ありもしないチェルシーの話を流すことにより、移籍市場においてクリスティアン・マネアの価値を高めようとした詐欺』ではないか?

大きな資金を持った代理人が経済的に苦しいクラブの実権を握ってコントロールし、偽情報を使って選手の価値を不当に高め、取り引きを使って儲ける――という形になっているのではないかという疑惑である。おそらく今回明らかになった租税回避の問題とともにこれらも各国当局の調査が行われるはずだ。

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