『Daily News』は27日、「アフリカネイションズカップは、ガボンの危機を隠している」と報じた。
1月14日に開幕を迎えたアフリカネイションズカップ。グループリーグが終了し、各チームが決勝トーナメントを戦っている。
そこには多くの国からファンが集まっており、鮮やかな衣装に身を包んだサポーターがスタジアムを彩り、トランペットやホーンが鳴り響く。
しかし、現在ガボンの実権を握っているアリ・ボンゴ・オンディンバ大統領には、世界中から大きな批判が相次いでいる。
前大統領の息子であるアリは、昨年8月に行われた選挙で勝利し2期目をスタートさせたが、投票では野党から腐敗が訴えられ、暴力的な衝突にも発展した。
ボンゴ・オンディンバ一家はすでに50年以上に渡ってガボンの実権を握り、豊富な原油がもたらす富は市民に還元されていない。
医療や教育への投資は滞り、石油や金などの価格が下落すれば国の経済は大きな打撃を受ける。
失業率は20%を超えており、教師への給与が滞ったことから新学期のスタートが一ヶ月遅れるという事態にも発展した。
大学で教鞭をとっているノエル・ベルトラン・ブンジェンガ教授は『DW』のインタビューに対して以下のように話し、サッカーに投資している場合ではないと語ったという。
ノエル・ベルトラン・ブンジェンガ
「我々は反スポーツ、反フットボールではないのだ。我々はフットボールを愛している!
しかし、国が政治的、かつ経済的に危機を抱いている場合、フットボールに7億ユーロ(およそ855.7億円)もの投資を行うことは出来ないはずだ。
学校には十分な机も椅子もなく、病院も薬が足りていない状況にある。全てが不足しているのだ」
この大会に向けては2つの新スタジアムが建設されるなどガボンは大きな投資を行っているが、国内のサッカーはそれほど観客数は多くない。実際は多くのガボン人がこの大会に対して反対をしており、それが華やかなアフリカネイションズカップの背後にある現実だという。